12月28日
森 崇
先週の動き
ダウ指数は先週1.0%下落。S&P500指数は同1.70%下落。ナスダック指数は2.20%下がった。また、小型株指数のラッセル2000指数は同1.95% 下落した。
(先週の米国株相場の動き)
先週も、クリスマス休暇で薄商いの中、結局小動きだった。
主な強材料1.経済指標で予想を上回るものが出た。
@11月の米製造業耐久財受注額は前月比1%減少(前月は8.4%減)と、予想(3%減)より落ち込みは少なかった。変動の大きい輸送用機器を除く受注は1.2%増と、予想(3.0%減)から一転プラスとなった。
A11月の個人消費支出(PCE)は前月比0.6%減少(前月は1%減少)し、予想(0.7%減少)を下回る落ち込みだった。
2.ゼネラル・モーターズ(GM)やフォード(F)株が急伸。
GMの金融関連会社GMACファイナンシャル・サービシズに好材料が出た。米連邦準備制度理事会(FRB)は24 日、GMAC ファイナンシャル・サービシズに対し、銀行持ち株会社への転換を承認。GMACがデフォルトに陥り、GMの販売業者向け信用供与枠が枯渇する危険性が緩和した。GM株が急騰したほか、フォード株もしっかり。
3.主要企業に好材料が出た。
@マイクロン・テクノロジー(MU)
米半導体メモリー最大手マイクロン・テクノロジーが23日引け後発表した2008年9−11月(第1四半期)決算は、アナリスト予想を上回る赤字幅となった。半導体価格の下落に伴い、在庫の評価損計上が響いた。しかし、場に入ると、突っ込み警戒感に加え、アナリスト予想を上回る売上高をあげたことから見直し買いが入った。
Aプロロジス(PLD)
不動産投資信託(REIT)大手のプロロジスが急伸。同社が財務力強化に向けて資産売却に踏み切ったことを受け、ドイチェ・バンクが同社株の投資判断を“保有”から“買い”に引き上げた。また、ワコビアが、“アンダー・パフォーム”から“アウト・パフォーム”に引き上げた。同社は中国と日本にある資産をシンガポールの政府系ファンドに13億ドルで売却した。
主な弱材料1.相変わらず経済指標は悪化。
@11月の米新築一戸建て住宅販売は前月比2.9%減少の40万7000戸(10月は41万9000戸)と、予想(41万5000戸)を下回った。17年ぶりの水準に落ちこんだ。
A11月の中古住宅販売件数は前月比8.6%減の年率449万戸(前月は491万戸)と、予想(493万戸)を下回った。
B第3四半期(7−9月)の実質国内総生産確定値は前期比年率0.5%減少と、改定値から修正されなかった。2001年のリセッション以来で最大のマイナス。
2.個別企業に悪材料が多く出た。
@ゼネラル・モーターズ(GM)
★クレディ・スイスは22日、GMの投資判断を“中立”から“アンダーパフォーム”に引き下げた。また、今後1年間の目標株価を従来の2ドルから1ドルに引き下げた。また、政府支援獲得に向けた譲歩で既存株主の利益が皆無に等しくなるか、ほとんどなくなる恐れがあるとコメント。
★S&Pが、自動車メーカー破綻の可能性は依然として高いとコメントした。
Aモンサント(MON)
ゴールドマン・サックスが同社株の投資判断を“買い”から“中立”に引き下げた。窒素やリン酸塩価格の急落によって、種子や肥料と言った同社製品価格が著しい下落圧力に晒されるだろうと言う。
B生保株
メット・ライフ(MET)や、プルーデンシャルと言った生保株が急落。フリードマン・ビリングス・ラムジーがネガティブ・コメント。生保業界は、平均して投資資産の10%が商業用不動産関連証券投資に回っているとし、ここのデフォルトがこれから生保のリスク要因になると言う。
Cウォルグリーン(WAG)
米ドラッグストア・チェーン最大手のウォルグリーン株が急落。9−11月(第1四半期)の増収率が過去18年で最低となった。
今週のマクロ経済指標
12月30日(火)*10月S&P/ケース・シラー総合指数20(前年比)…コンセンサス予想‐17.9%(前月は‐17.4%)
*10月S&P/ケース・シラー総合指数20…(前月は161.6)
*12月シカゴ購買部協会景気指数…コンセンサス予想33.0(前月は33.8)
*12月消費者信頼感指数…コンセンサス予想45.5(前月は44.9)
*ABC消費者信頼感指数(12月28日)…(前月は‐48)
12月31日(水)*MBA住宅ローン申請件数(12月26日)…(前月は48.0%)
*新規失業保険申請件数(12月27日)…コンセンサス予想57万5,000人
(前月は58万6,000人)
*失業保険継続受給者数(12月20日)…(前月は437万人)
*12月NAPM−ミルウォーキー…(前月は35.0)
1月2日(金)*12月ISM製造業景況指数…コンセンサス予想35.4(前月は36.2)
*12月ISM支払い価格…コンセンサス予想20.0(前月は25.5)
連銀高官講演予定
1月3日(土)*セントルイス連銀ブラード総裁講演。
*クロズナーFRB理事、討論会出席。
1月4日(日)*セントルイス連銀ブラード総裁、シカゴ連銀エバンズ総裁、ダラス連銀フィッシャー
総裁講演。
*サンフランシスコ連銀イエレン総裁講演。
*ニューヨーク連銀ダドレー執行副総裁講演。
ミクロ関連
主要企業決算発表予定なし。
今週の展望
先週は米連邦準備理事会(FRB)が事実上のゼロ金利導入を決め、ブッシュ大統領は自動車大手に対する緊急融資の実施を発表。ひとまず破綻回避で落ち着いた。市場の注目は引き続き実体経済動向に集まっている。
先週は、住宅統計中心に悪化内容が多かったが、週後半から相場は戻し歩調に転じた。
特に、自動車関連に強気材料が出た。
米連邦準備制度理事会(FRB)は24 日、GMAC ファイナンシャル・サービシズに対し、銀行持ち株会社への転換を承認。GMACがデフォルトに陥り、GMの販売業者向け信用供与枠が枯渇する危険性が緩和した。GM株が急騰したほか、フォード株もしっかりだったが、GMACが銀行持ち株会社に転換することのメリットは大きい。
(銀行持ち株会社への転換のメリット)
@同社は、総額7000 億ドル(約63 兆2500 億円)の米金融安定化法に基づく支援資金や、FRB の窓口貸出を利用できるようになる。ニューヨーク・タイムズ紙によると、GMAC は最大で60 億ドルを得る可能性があると言う。
A銀行持ち株会社に転換することで、GM が生産した自動車の購入に対してGMACがローンを提供する力が強まり、自動車ローン市場の正常化に役立つ。
B米連邦預金保険公社(FDIC)による預金保証上限が25 万ドルとなることも、銀行持ち株会社化のメリット。FDIC には、銀行が発行する債券を最長3 年間保証する制度もある。
また、マイクロン株の動きも注目される。米半導体メモリー最大手マイクロン・テクノロジーが23日引け後発表した2008年9−11月(第1四半期)決算は、アナリスト予想を上回る赤字幅となった。半導体価格の下落に伴い、在庫の評価損計上が響いた。しかし、場に入ると、突っ込み警戒感に加え、アナリスト予想を上回る売上高をあげたことから見直し買いが入った。ただし、マイクロン株の上昇には、業界再編に絡んだ思惑を背景にある。
DRAMで世界3位のエルピーダメモリが、同業で台湾メーカーの力晶半導体(パワーチップ・セミコンダクター、PSC)や、力晶との合弁会社レックスチップ、プロモス・テクノロジーズと計4社の経営統合に向け協議を開始したことが先週明らかになった。過去最悪の不況が続く中で、日台連合による半導体業界の再編に発展する可能性がある。4社が統合すれば、世界で288億ドルの市場規模を持つDRAM業界で1999年以来の大規模再編となる。当時は、市況低迷で大幅な赤字に苦しんだ各社で合従連衡が進み、日立製作所とNECがDRAM事業を統合してエルピーダを設立、韓国でもハイニックス半導体が誕生した。再編が世界規模に拡大するとの見方も出ており、もともと買収されるとの観測が高いマイクロン・テクノロジーにも思惑買いが入っているようだ。
さて今週は、年末年始をはさんでの取引である。ただし、クリスマス休暇を取る投資家は依然多く、多くが1月5日(月)から仕事始めである。従って、今週も商いは低調気味になりそう。相場は個別材料に左右される展開となりそうだ。
予想レンジ
ダウ指数…8,400ドル〜9,000ドル
ナスダック指数…1,500〜1,600
米国債券先週の動き
債券は反落した。30年債の利回りは対前週比0.05%上昇。10年債は同0.01%上昇。また、5年債は対前週比0.16%上昇。2年債は同0.15%上昇。とりわけ短期債の利回り上昇が顕著だった。景気指標は悪化するものが多かったが、大量起債で荷もたれ感が強かった。
(債券軟調の背景)
@2年債380億ドルの入札結果を嫌気した売りがかさんだ。最高落札利回りは0.922%と同証券の入札開始以来で最低を記録したものの、入札直前の市場予想0.912%を上回った。各国中央銀行を含む間接応札の落札比率は30.4%で、前回の34.9%から低下した。プライマリーディーラーの応札の落札比率は68.2%で、前回の63.7%から上昇した。
A5年債入札(280億ドル)の結果によると、投資家の需要を測る指標の応札倍率は2.06倍と、前回の2.44倍から低下した。一方、最高落札利回りは1.539%と、入札直前の市場予想1.558%を下回った。前回(11月25日)は2.11%だった。各国中央銀行を含む間接応札の落札比率は24.5%で、前回11月の37.2%から低下した。
2006年6月8日、10年債利回りが2年債利回りを下回る長短金利の逆転が発生したが、2007年3月21日、FOMCが政策金利を据え置く一方で、利上げへの傾斜姿勢を取りやめたことから利下げ観測が再度カムバックした為、順イールドに戻った。その後、5月3日再度逆イールドとなったが、6月8日に再度順イールドに戻った。その後、度重なる利下げを経た後、2008年12月26日現在も順イールド状態は変わらず。ただし、利回り曲線は、短期債中心に利回りが若干上昇し、全体としてはわずかに下方パラレルシフト。
為替相場先週の動き
ニューヨーク外国為替市場では、ドルが対ユーロで0.98%下落、対円で1.77%上昇した。
(対円でドルが上昇した背景)
@11月の日本の輸出が急減したことを受け、日本経済のリセッション深刻化が懸念された。
Aテクニカルに、通貨ボラティリティー(変動率)を示す指数が低下し、キャリートレードの魅力が増した。円はユーロやブラジル・レアル、カナダ・ドルに対しても下落。キャリートレード復活の観測が円売りの背景。
B日本のインフレ率低下と鉱工業生産の落ち込みを材料に、日銀が流動性供給を通じた景気支援策を強化するとの観測が広がった。26日発表の11月の全国の消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)は、前年同月比1.0%上昇と14ヶ月連続のプラスながら、前月(同1.9%上昇)から伸びが大幅に鈍化した。また、鉱工業指数速報(季節調整済み、2005年=100)によると、11月の生産指数は前月比8.1%低下した。前月比の下落幅は、これまで01年1月の4.2%減が最大だった。
(対ユーロでドルが下落した背景)
@ECBが金利据え置きスタンスの反面、米国は悪化する経済指標が目立った。20日に終わった1週間の新規失業保険申請件数は、前週比3万件増の58万6000件(前週は55万6000件)と、予想(55万8000件)を大幅に上回った。26年ぶりの高水準に増加した。
A11月の米新築一戸建て住宅販売は前月比2.9%減少の40万7000戸(10月は41万9000戸)と、予想(41万5000戸)を下回った。17年ぶりの水準に落ちこんだ。
B11月の中古住宅販売件数は前月比8.6%減の年率449万戸(前月は491万戸)と、予想(493万戸)を下回った。
C第3四半期(7−9月)の実質国内総生産確定値は前期比年率0.5%減少と、改定値から修正されなかった。2001年のリセッション以来で最大のマイナス。
原油相場先週の動き
原油価格は反発。前週末比で11.34% 上昇した。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)で取引されている原油先物2月限は前週末の1バレル=33.87ドルに対し、12月26日は37.71ドルで越週した。
(原油価格が反発した背景)
@アラブ首長国連邦(UAE)がOPECの合意に沿った減産を実行すると表明した。UAE最大の石油会社、アブダビ国立石油が、来年1、2の両月、アジア向け原油供給を減らす。
ANY外国為替市場でドルが対ユーロで下げた。
=以上=



