12月7日
森 崇
先週の動き
ダウ指数は先週2.19%下落。S&P500指数は同2.25%下落。ナスダック指数は1.71%下がった。また、小型株指数のラッセル2000指数は同2.55% 下落した。
(S&P500指数先週1週間の動き)

詳しい業種別値上がり状況は以下の通り。
(先週の米国株相場の動き)
先週月曜日大幅安した後は、概ね戻し歩調で推移した。
主な下げ材料
1.リセッション宣言がなされ、改めて景気悪化がクローズアップした。
@全米経済研究所(NBER)は1日、米国が2007年12月にリセッション(景気後退)に入ったと発表。前回、米国がリセッションだったのは2001年3月から11月だった。
A米供給管理協会(ISM)が1日発表した11月の製造業景況指数は36.2(前月は38.9)と、予想(37.0)を下回った。これは1982年5月(35.5)以来の最低。
2.主要企業に悪材料が出た。
@ゼネラル・エレクトリック(GE)
シティ・グループがネガティブコメント。明日GEが実施する2009年見通し公表で、事業規模縮小が発表されるかもしれないと言う。GEキャピタルの詳細計画も公表される見通し。
A米鶏肉加工大手ピルグリムズ・プライドは1日、連邦破産法11条の適用を申請した。
主な反発材料
1.米連邦準備制度理事会(FRB)が3種類の緊急融資制度の貸出期限を延長したのが好材料だった。
2.連銀高官から景気への強気発言があった。
@プロッサー総裁が、現下の危機は30年代とは異なり、新たな恐慌はない、
米国は継続的なデフレに近づいているわけではないと発言。
Aセントルイス連銀のブラード総裁は2日、「我々は現在、最悪の四半期のただなかにある。今のところ、2008年10−12月(第4四半期)にはかなりの景気悪化、09年1−3月(第1四半期)はそれよりはやや緩やかな悪化と見込まれるが、その後は上向くものと期待される」と発言。
3.全米抵当貸付銀行協会(MBA)が3日発表した11月28日までの1週間の住宅ローン申請指数は857.7(前週404.4)から112%上昇し、過去最大の上昇率となった。
FRBは前週、連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)と連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)、連邦政府抵当金庫(ジニーメイ)が保証する住宅ローン担保証券(MBS)を総額5000億ドルを上限に買い入れると発表した。これを受け、住宅ローン金利が大幅に低下した。住宅ローン30年物固定金利は平均で5.47%と、前週の5.99%から低下し、2005年6月以来の低水準となった。
また、PIMCOのビル・グロス氏は、FRBのこの購入措置により、住宅ローン30年物固定金利は4.50%から5%レベルで安定化するだろうと発言した。
4.主要企業に強材料が出た。
@アマゾン・ドット・コム(AMZN)
ネット関連株が上昇。調査会社コムスコアによれば、12月1日のサイバー・マンデイでのネット小売売上げは、前年比15%伸びて8億4600万ドルと、史上2位の規模になったと言う。
Aハートフォード・フィナンシャル(HIG)
保険大手株が100%以上の上昇を遂げた。通期ベースの投資等を除く、営業利益予想を引き上げた。また、支店での業績見通しも強いとコメントした。1株当り営業利益が4.70ドル〜4.90ドルになると言う。10月には、同4.30ドル〜4.50ドルになるとしていた。ラマニ・アイアーCEOがコメントした。
Bプルデンシャル・フィナンシャル(PRU)とメットライフ(MET)
UBSが、監督規制が変更になった場合に、両社が恩恵を受ける可能性を指摘した。
Cサンディスク(SNDK)
メモリー・カード最大手株が14%上昇した。アメリカン・テクノロジー・リサーチが、同社株の投資判断を“中立”から“買い”に引き上げた。供給の伸びが鈍化しており、NANDフラッシュ市場の底は近いとコメントした。株価ターゲットは14ドルに設定。同社はDRAM大手マイクロン・テクノロジー株の投資判断も“中立”から“買い”に引き上げた。株価ターゲットは4.50ドルに設定。
今週のマクロ経済指標
12月9日(火)
*12月IBD/TIPP景気楽観指数…コンセンサス予想45.0(前月は50.8)
*10月中古住宅販売保留(前月比)… コンセンサス予想-3.0%(前月は-4.6%)
*12月7日ABC消費者信頼感指数…(前月は-54)
12月10日(水)
*12月5日MBA住宅ローン申請指数…(前月は112.1%)
*10月卸売在庫…コンセンサス予想0.1%(前月は-0.1%)
12月11日(木)
*10月貿易収支…コンセンサス予想-540億ドル(前月は-565億ドル)
*11月輸入物価指数(前月比)…コンセンサス予想-4.3%(前月は-4.7%)
*11月輸入物価指数(前年比)…(前同期比は6.7%)
*12月8日新規失業保険申請件数…(前月は509,000件)
11月12日(金)
*11月生産者物価指数(前月比)…コンセンサス予想-1.8%(前月は-2.8%)
*11月PPI(除食品&エネルギー・前月比)…コンセンサス予想0.1%(前月は0.4%)
*11月PPI(除食品&エネルギー・前年比)…(前同期比は4.4%)
*11月小売売上高…コンセンサス予想-1.5%(前月は-2.8%)
*11月小売売上高(除自動車)…コンセンサス予想-1.7%(前月は-2.2%)
*12月ミシガン大学消費者信頼感指数…コンセンサス予想56.0(前月は55.3)
*10月企業在庫…コンセンサス予想-0.1%(前月は-0.2%)

今週の展望
相場全体悪材料をかなり織り込んだ。今週の展開を見ているとそう思う。全米経済研究所(NBER)が1日、米国が2007年12月にリセッション(景気後退)に入ったと発表。既に多くのエコノミストが、はるか前から指摘していただけに、今更と言った感じだが、実際に宣言されると、ショックだった。それも去年の12月から既にリセッションに陥っていたと言うのだから。
ただし、原油相場が何と40ドル割れ寸前まで下落した(週間で何と25%の下がった)り、年限10年以上の長期債が7日続伸した。10年国債の利回りは2.55%と過去最低値をつけた。リセッションを通り越し、デプレッション(恐慌)をも織り込む展開になっており、債券の利回り曲線は、フラットニング化が進んでいる。
こうなると、だんだん資金の行き先が無くなって来る。従って、少しでも良い材料が出ると、株式に資金が入ってくる。全米抵当貸付銀行協会(MBA)が3日発表した11月28日までの1週間の住宅ローン申請指数は857.7(前週404.4)から112%上昇し、過去最大の上昇率となったが、3日の相場などまさにこの材料で
買われた。5日も、11月雇用統計が大幅悪化し、ザラ場でダウ指数が250ドル以上下げながら、結局引けにかけ戻し歩調に転じ、何と259ドル高で引けた。
直接の上げ材料と言ったら、ハートフォード・フィナンシャル(HIG)くらいであった。ハートフォード株は100%以上の上昇を遂げたが、通期ベースの投資等を除く、営業利益予想を引き上げたからだ。
わずかでも好材料に反応しやすい地合になっている。さて、今週はビッグ3救済問題が要注目だ。5日には、ブッシュ大統領も救済案を指示する発言をしている。
何らかの形で救済されるのではないか。今週は、底固い展開を予想する。
予想レンジ
ダウ指数…8,500ドル〜9,000ドル
ナスダック指数…1,450〜1,600
米国債券先週の動き
債券は大幅続伸だった。30年債の利回りは対前週比0.30%低下。10年債は同0.23%低下。また、5年債は対前週比0.22%低下。2年債は同0.05%低下。とりわけ長期債の利回り低下が顕著だった。
(債券堅調の背景)
@バーナンキFRB議長が講演で、深刻化するリセッションへの対応策として、長期国債を購入する可能性に言及したことが手掛かり。
A全米経済研究所(NBER)はこの日、米国が2007年12月にリセッション(景気後退)に入ったと発表した。
B米国が第2次世界大戦以降で最長の景気低迷期に入っている可能性があるとの見方から原油相場は大幅続落した。
C10月の製造業受注額は前月比5.1%減(9月は3.1%減)と、予想(4.5%減)を上回る落ち込みだった。2000年7月以来で最大の減少。輸送機器を除く10月の受注額は前月比4.2%減と、3カ月連続のマイナス。
(1年間の10年国債利回り推移)

2006年6月8日、10年債利回りが2年債利回りを下回る長短金利の逆転が発生したが、2007年3月21日、FOMCが政策金利を据え置く一方で、利上げへの傾斜姿勢を取りやめたことから利下げ観測が再度カムバックした為、順イールドに戻った。その後、5月3日再度逆イールドとなったが、6月8日に再度順イールドに戻った。その後、度重なる利下げを経た後、2008年12月5日現在も順イールド状態は変わらず。ただし、利回り曲線は、長期もの中心に利回りが低下し、平坦化した。

為替相場先週の動き
ニューヨーク外国為替市場ではドルが対ユーロで0.31%下落、対円で2.86%下落した。
(ドルが下落した背景)
@全米経済研究所(NBER)はこの日、米国が2007年12月にリセッション(景気後退)に入ったと発表した。
A米国が第2次世界大戦以降で最長の景気低迷期に入っている可能性があるとの見方から原油相場は大幅続落した。
B10月の製造業受注額は前月比5.1%減(9月は3.1%減)と、予想(4.5%減)を上回る落ち込みだった。2000年7月以来で最大の減少。輸送機器を除く10月の受注額は前月比4.2%減と、3カ月連続のマイナス。
C11月米雇用統計で、非農業部門雇用者数が前月比53万3000人減と、予想(33万5000人減)より大幅に悪化、1974年12月以来で最大の落ち込みを記録。
(直近1年間のドルの対ユーロ<茶線>、対円<黒線>上昇率推移)

原油相場先週の動き
原油価格は急落。前週末比で25.02% 下落した。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)で取引されている原油先物1月限は前週
末の1バレル=54.43ドルに対し、12月5日は40.81ドルで越週した。
(原油価格が反発した背景)
@OPECが11月29日にカイロで開いた緊急会合では、10月に合意した日量150万バレルの減産の効果を見極めるため、追加減産に関する議論を先送りした。OPECのバドリ事務局長は1日、17日にアルジェリアで開く臨時会合で追加減産を決定するとの見通しを明らかにした。
A全米経済研究所(NBER)は1日、米国が2007年12月にリセッション(景気後退)に入ったと宣言したが、引き続き景気弱気が悪材料になっている。エネルギー省の統計によると製油所の稼働率は先週に84.3%と、前の週から1.8ポイント低下した。低下幅は9月以降で最大。統計はまた、燃料消費も前年比で減少したことを示した。
B日米欧のリセッションが深刻化し、燃料消費が抑制されるとの見方が高まった。
Cメリルリンチは4日付のリポートで、リセッションが中国に波及すれば、原油価格は09年に25ドルを割り込む可能性があると指摘した。
D米エネルギー省が3日発表した統計によると、11月21日に終わった4週間の米燃料消費量は前年同期比6.2%減少した。
E11月米雇用統計で、非農業部門雇用者数が前月比53万3000人減と、予想(33万5000人減)より大幅に悪化、1974年12月以来で最大の落ち込みを記録。景気悪化から原油需要減少懸念が高まった。
=以上=



