8月9日
森 崇
先週の動き
ダウ指数は先週2.16%上昇。S&P500指数は同2.33%上昇。ナスダック指数は1.10%上がった。また、小型株指数のラッセル2000指数は同2.82%上昇した。
(先週の米国株相場の動き)
雇用統計を控え、木曜日までは全般小動きだったが、7日(金)の雇用統計を受けて上伸した。
(7日大幅高の背景)
1.7月の米雇用統計で人員削減の幅が市場予想を下回り、米経済に対する強気見通しが広がった。
(主な項目)
★7月非農業部門雇用者数…前月比24万7000人減少と、予想(32万5000人減少)となった。6月分も、速報値46万7000人減から、44万3000人減に改定され、マイナス幅が縮小。
★7月失業率…9.4%に低下し、予想(9.6%)より大幅低下。6月は9.5%だった。失業率の低下は2008年4月以降初めて。
2.主要企業に関する強材料が続出した。
★ゼネラル・モーターズ(GM)
GM7日、来年7月10日までに新規株式公開を実施する方針を明らかにした。
★アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)
AIGが7日寄り前決算発表。第2四半期の調整後ベースでの損益は1株当たり2.57ドルの利益となり、予想(1.33)ドルを大きく上回った。
★バークシャー・ハザウェイ(BRK/A)
米保険・投資会社バークシャー・ハサウェイが発表した09年第2四半期決算は黒字転換。
★アメリカン・エキスプレス(AXP)
ゴールドマン・サックスはクレジットカード会社のアメリカン・エキスプレスの目標株価を28ドルから33ドルに引き上げた。
(今週の主要イベント)
マクロ経済指標
企業決算発表予定表
8月12日
(企業名) (四半期) (予想一株当たり利益) (予想売上高)
M 第2四半期 0.14$ 52億$
SLE 第4四半期 0.24$ 33億$
8月13日
(企業名) (四半期) (予想一株当たり利益) (予想売上高)
JWN 第2四半期 0.46$ 21億$
WMT 第2四半期 0.86$ 1,020億$
8月14日
(企業名) (四半期) (予想一株当たり利益) (予想売上高)
ANF 第2四半期 −0.03$ 6億5100万$
JCP 第2四半期 −0.02$ 39億$
今週の展望
以下のダウ指数では、ボリンジャー・バンドの上限が上昇していることや、200日移動平均線が下降から横ばいに転じていることから、相場の基調は強い。
今回の上昇相場の背景を列挙すると以下の通りになろう。
1.現在の四半期に、今年初のGDPプラス成長が見込まれる。
2.アジアや新興国の経済はより強い回復力を示している。
3.企業利益は底打ちした。
4.金融政策は協調した緩和状態にある。
5.債券相場がラリーを演じ、リーマン破綻前に水準に比べ、投資適格債のスプレッドは縮小化している。
6.米国主要株式指数や、主要海外株価指数は急反発している。米国株では、アップル、グーグル、オラクル、シスコシステムズ等主力株がしっかり。
7.S&P500指数採用企業の2009年度平均営業利益(55ドル)から弾いたPERから見れば、株価は安くないが、2010年予想平均営業利益(75ドル)をべースに算出したPERは13倍であり、歴史的に見てもこれは割安だ。とりわけ米長期債の利回り(3%から4%)や、マネー・マーケット・ミューチャルファンドのゼロ近傍の金利水準からすればますます割安感が際立つ。
8.S&P500指数は3月9日の底値から46%上昇しているが、これでも10年前の水準を下回っている。
9.企業は世界恐慌を恐れ、在庫、人員、設備投資を極端に減らした。ただし、景気悪化の最中にあっても、生産性(一人のマンパワーが1時間で産出する価値総額)は上昇している。言い換えれば、力強い経済成長がなくても、利益を捻出できるのだ。
10.現金が、全米株式の時価総額の95%分も存在している。現在のような低インフレ、低金利環境下であれば、これが50%でしかるべきだ。そうなると、約5兆ドルの現金がサイド・ラインに滞留していることになる。
更に、最も回復が遅れていた雇用市場に改善傾向が見て取れる。今回の雇用統計では、失業率の低下が最大のポジティブ・サプライズだ。歴史的に失業率が一度でも低下したあと再び上昇したことはほとんどない。平均時間当たり賃金と平均週間労働時間が増加しているのも力強い。
米国内総生産(GDP)や米供給管理協会(ISM)に加え、雇用統計も改善傾向をみせたことは意味のあることだ。
全米経済研究所(NBER)の景気循環判定委員会メンバーであるフランケル教授は、米国のリセッションが7月で終息した可能性があるとの見解を明らかにした。労働市場の改善が背景。
さて今週は連邦公開市場委員会(FOMC)でFRBが景気動向をどう見ているかが注目される。ゼロ金利政策を維持しつつも、声明がどのような内容になるかがキーとなる。また、今週は消費関連の指標が発表になる。この部分は雇用同様改善が遅れている。7月の小売売上高や8月のミシガン大学消費者信頼感指数が要注目。またミクロでは、ウィルマート(WMT)、JCペニー(JCP)、ノード・ストローム(JWN)、アバクロンビー(ANF)、メーシーズ(M)等小売関連の四半期決算発表が相次ぐ。全体として内容が良好であれば、米国株相場の更なる上昇要因となりそう。いずれにしても、相場の基調は強く、引き続き調整は時間(日柄)でこなして行くパターンを取るであろう。
予想レンジ
ダウ指数…9,300ドル〜9,500ドル
ナスダック指数…1,950〜2,100
米国債券先週の動き
債券は下落。特に長期債が大きく下落した。30年債の利回りは対前週比0.30%上昇。10年債は同0.375%上昇。また、5年債は同0.30%上昇。2年債は同0.19%上昇。
(長期債軟調の背景)
★米製造業や建設支出の統計が市場予想を上回ったことや、米株式相場の上昇を受け、高リスク資産に資金が流れた。
★6月の米中古住宅販売成約指数が市場予想を上回る上昇率となり、米国で戦後最悪のリセッションが和らいでいるとの新たな兆候が示されたことが背景。
★米財務省が、来週実施する四半期定例国債入札の規模が過去最大の750億ドルになると発表したほか、インフレ連動債(TIPS)の発行を拡大する計画を示唆した。
★財務省は、インフレ連動債の発行を増やし、30年物の導入により現行の20年物発行を終了する方針を示唆した。
★7月の米雇用統計で人員削減の幅が市場予想を下回り、米経済に対する強気見通しが広がった。
2006年6月8日、10年債利回りが2年債利回りを下回る長短金利の逆転が発生したが、2007年3月21日、FOMCが政策金利を据え置く一方で、利上げへの傾斜姿勢を取りやめたことから利下げ観測が再度カムバックした為、順イールドに戻った。それから、5月3日再度逆イールドとなったが、6月8日に再度順イールドに戻った。その後、度重なる利下げを経た後、2009年8月7日現在も順イールド状態は変わらず。
為替相場先週の動き
ニューヨーク外国為替市場では、ドルが対ユーロで0.58%、対円で3.05%上昇した。
(ドル高の背景)
★英中銀が量的緩和を継続した。
★7月の非農業部門雇用者数の減少幅が予想を下回ったことでドルに買いが集まった。日本の投資マネーが国外の高利回り資産に流れるとの観測が高まった。
原油相場先週の動き
原油価格は小幅続伸。前週末比で2.13% 上昇した。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)で取引されている原油先物9月限は前週末の1バレル=69.45ドルに対し、8月7日は70.93ドルで越週した。
(原油価格反発の背景)
★製造業の生産拡大の兆しを背景に燃料消費が回復するとの楽観的な見方が広がった。米供給管理協会(ISM)が発表した7月の製造業景況指数は縮小ペースが過去11カ月で最も緩やかだった。中国の製造業生産は約1年ぶりの高水準となった。また、S&P500指数が昨年11月以来はじめて1000ポイントを突破したことも原材料需要の増大や価格上昇を支援するとの楽観につながった。
★米エネルギー省が発表した週間統計で、燃料在庫が減少した。消費量が2月以来の高水準に増えたことが背景。先週の燃料需要は前週から3.1%増加した1930万バレルと、2月27日終了週以来の高水準となった。ヒーティングオイルやディーゼル油を含む留出油の在庫が114万バレル減少し、1億6150万バレルとなった。ガソリンの在庫も減少。一方、原油在庫は増加した。
★米石油協会(API)が4日発表した先週の米国の原油在庫は152万バレル減の3億5090万バレルとなった。
★ナショナル・オーストラリア銀行(NAB)によると、原油相場はテクニカルな上昇相場を継続し1バレル=73ドルを超えて年初来高値を更新すると見ている。また、66ドルを割り込む事態は避けられる見通し。
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