2009年08月10日

今週の米国株相場展望 8/9

今週の米国株相場展望

8月9日

森  崇


先週の動き
ダウ指数は先週2.16%上昇。S&P500指数は同2.33%上昇。ナスダック指数は1.10%上がった。また、小型株指数のラッセル2000指数は同2.82%上昇した。

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(先週の米国株相場の動き)
雇用統計を控え、木曜日までは全般小動きだったが、7日(金)の雇用統計を受けて上伸した。

(7日大幅高の背景)
1.7月の米雇用統計で人員削減の幅が市場予想を下回り、米経済に対する強気見通しが広がった。
  
(主な項目)
★7月非農業部門雇用者数…前月比24万7000人減少と、予想(32万5000人減少)となった。6月分も、速報値46万7000人減から、44万3000人減に改定され、マイナス幅が縮小。
★7月失業率…9.4%に低下し、予想(9.6%)より大幅低下。6月は9.5%だった。失業率の低下は2008年4月以降初めて。

2.主要企業に関する強材料が続出した。
★ゼネラル・モーターズ(GM)
GM7日、来年7月10日までに新規株式公開を実施する方針を明らかにした。
★アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)
AIGが7日寄り前決算発表。第2四半期の調整後ベースでの損益は1株当たり2.57ドルの利益となり、予想(1.33)ドルを大きく上回った。
★バークシャー・ハザウェイ(BRK/A)
米保険・投資会社バークシャー・ハサウェイが発表した09年第2四半期決算は黒字転換。
★アメリカン・エキスプレス(AXP)
ゴールドマン・サックスはクレジットカード会社のアメリカン・エキスプレスの目標株価を28ドルから33ドルに引き上げた。


(今週の主要イベント)
マクロ経済指標

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企業決算発表予定表
8月12日

(企業名)  (四半期) (予想一株当たり利益) (予想売上高)
M      第2四半期     0.14$       52億$
SLE     第4四半期     0.24$       33億$


8月13日

(企業名)  (四半期) (予想一株当たり利益) (予想売上高)
JWN      第2四半期      0.46$       21億$
WMT      第2四半期      0.86$      1,020億$


8月14日

(企業名)  (四半期) (予想一株当たり利益) (予想売上高)
ANF      第2四半期     −0.03$     6億5100万$
JCP      第2四半期     −0.02$        39億$


今週の展望
以下のダウ指数では、ボリンジャー・バンドの上限が上昇していることや、200日移動平均線が下降から横ばいに転じていることから、相場の基調は強い。

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今回の上昇相場の背景を列挙すると以下の通りになろう。

1.現在の四半期に、今年初のGDPプラス成長が見込まれる。
2.アジアや新興国の経済はより強い回復力を示している。
3.企業利益は底打ちした。
4.金融政策は協調した緩和状態にある。
5.債券相場がラリーを演じ、リーマン破綻前に水準に比べ、投資適格債のスプレッドは縮小化している。
6.米国主要株式指数や、主要海外株価指数は急反発している。米国株では、アップル、グーグル、オラクル、シスコシステムズ等主力株がしっかり。
7.S&P500指数採用企業の2009年度平均営業利益(55ドル)から弾いたPERから見れば、株価は安くないが、2010年予想平均営業利益(75ドル)をべースに算出したPERは13倍であり、歴史的に見てもこれは割安だ。とりわけ米長期債の利回り(3%から4%)や、マネー・マーケット・ミューチャルファンドのゼロ近傍の金利水準からすればますます割安感が際立つ。
8.S&P500指数は3月9日の底値から46%上昇しているが、これでも10年前の水準を下回っている。
9.企業は世界恐慌を恐れ、在庫、人員、設備投資を極端に減らした。ただし、景気悪化の最中にあっても、生産性(一人のマンパワーが1時間で産出する価値総額)は上昇している。言い換えれば、力強い経済成長がなくても、利益を捻出できるのだ。
10.現金が、全米株式の時価総額の95%分も存在している。現在のような低インフレ、低金利環境下であれば、これが50%でしかるべきだ。そうなると、約5兆ドルの現金がサイド・ラインに滞留していることになる。

更に、最も回復が遅れていた雇用市場に改善傾向が見て取れる。今回の雇用統計では、失業率の低下が最大のポジティブ・サプライズだ。歴史的に失業率が一度でも低下したあと再び上昇したことはほとんどない。平均時間当たり賃金と平均週間労働時間が増加しているのも力強い。

米国内総生産(GDP)や米供給管理協会(ISM)に加え、雇用統計も改善傾向をみせたことは意味のあることだ。

全米経済研究所(NBER)の景気循環判定委員会メンバーであるフランケル教授は、米国のリセッションが7月で終息した可能性があるとの見解を明らかにした。労働市場の改善が背景。

さて今週は連邦公開市場委員会(FOMC)でFRBが景気動向をどう見ているかが注目される。ゼロ金利政策を維持しつつも、声明がどのような内容になるかがキーとなる。また、今週は消費関連の指標が発表になる。この部分は雇用同様改善が遅れている。7月の小売売上高や8月のミシガン大学消費者信頼感指数が要注目。またミクロでは、ウィルマート(WMT)、JCペニー(JCP)、ノード・ストローム(JWN)、アバクロンビー(ANF)、メーシーズ(M)等小売関連の四半期決算発表が相次ぐ。全体として内容が良好であれば、米国株相場の更なる上昇要因となりそう。いずれにしても、相場の基調は強く、引き続き調整は時間(日柄)でこなして行くパターンを取るであろう。

予想レンジ
ダウ指数…9,300ドル〜9,500ドル
ナスダック指数…1,950〜2,100



米国債券先週の動き
債券は下落。特に長期債が大きく下落した。30年債の利回りは対前週比0.30%上昇。10年債は同0.375%上昇。また、5年債は同0.30%上昇。2年債は同0.19%上昇。

   (長期債軟調の背景)
★米製造業や建設支出の統計が市場予想を上回ったことや、米株式相場の上昇を受け、高リスク資産に資金が流れた。
★6月の米中古住宅販売成約指数が市場予想を上回る上昇率となり、米国で戦後最悪のリセッションが和らいでいるとの新たな兆候が示されたことが背景。
★米財務省が、来週実施する四半期定例国債入札の規模が過去最大の750億ドルになると発表したほか、インフレ連動債(TIPS)の発行を拡大する計画を示唆した。
★財務省は、インフレ連動債の発行を増やし、30年物の導入により現行の20年物発行を終了する方針を示唆した。
★7月の米雇用統計で人員削減の幅が市場予想を下回り、米経済に対する強気見通しが広がった。

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2006年6月8日、10年債利回りが2年債利回りを下回る長短金利の逆転が発生したが、2007年3月21日、FOMCが政策金利を据え置く一方で、利上げへの傾斜姿勢を取りやめたことから利下げ観測が再度カムバックした為、順イールドに戻った。それから、5月3日再度逆イールドとなったが、6月8日に再度順イールドに戻った。その後、度重なる利下げを経た後、2009年8月7日現在も順イールド状態は変わらず。


為替相場先週の動き
ニューヨーク外国為替市場では、ドルが対ユーロで0.58%、対円で3.05%上昇した。

   (ドル高の背景)
★英中銀が量的緩和を継続した。
★7月の非農業部門雇用者数の減少幅が予想を下回ったことでドルに買いが集まった。日本の投資マネーが国外の高利回り資産に流れるとの観測が高まった。
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原油相場先週の動き
原油価格は小幅続伸。前週末比で2.13% 上昇した。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)で取引されている原油先物9月限は前週末の1バレル=69.45ドルに対し、8月7日は70.93ドルで越週した。

   (原油価格反発の背景)
★製造業の生産拡大の兆しを背景に燃料消費が回復するとの楽観的な見方が広がった。米供給管理協会(ISM)が発表した7月の製造業景況指数は縮小ペースが過去11カ月で最も緩やかだった。中国の製造業生産は約1年ぶりの高水準となった。また、S&P500指数が昨年11月以来はじめて1000ポイントを突破したことも原材料需要の増大や価格上昇を支援するとの楽観につながった。
★米エネルギー省が発表した週間統計で、燃料在庫が減少した。消費量が2月以来の高水準に増えたことが背景。先週の燃料需要は前週から3.1%増加した1930万バレルと、2月27日終了週以来の高水準となった。ヒーティングオイルやディーゼル油を含む留出油の在庫が114万バレル減少し、1億6150万バレルとなった。ガソリンの在庫も減少。一方、原油在庫は増加した。
★米石油協会(API)が4日発表した先週の米国の原油在庫は152万バレル減の3億5090万バレルとなった。
★ナショナル・オーストラリア銀行(NAB)によると、原油相場はテクニカルな上昇相場を継続し1バレル=73ドルを超えて年初来高値を更新すると見ている。また、66ドルを割り込む事態は避けられる見通し。



=以上=
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2009年08月03日

今週の米国株相場展望 8/2

今週の米国株相場展望

8月2日

森  崇


先週の動き
ダウ指数は先週0.86%上昇。S&P500指数は同0.84%上昇。ナスダック指数は0.64%上がった。また、小型株指数のラッセル2000指数は同1.50% 上昇した。
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(先週の米国株相場の動き)
30日(木)に上伸した程度で、全般小動きに終始した。

(30日上伸の相場の背景)
1.新規失業保険申請件数が6月下旬を下回る水準にとどまった。また、失業保険の継続受給者数は3週連続で減少した。

2.主要企業の好決算や投資判断の引き上げが目立った。
★モトローラ(MOT)
米通信機器メーカー大手モトローラが30日寄り前決算発表。4〜6月期の売上高は55億ドル、1株利益は0.01ドルとなった。予想は、売上高が56億ドル、EPSが4セントの赤字だった。製造コストや営業費用、研究開発費などの大幅経費削減が増益に貢献した。

★マスターカード(MA)
マスターカード(MA)が30日発表した第2四半期決算は手数料引き上げやコスト削減が奏功し、黒字に転換した。特別項目を除くベースでの損益は1株当たり2.67ドルの利益。予想は2.43ドルだった。純収入は2.7%増の13億ドル。手数料収入引き上げのほか、クレジットカード利用増加に押し上げられた。

★ダウ・ケミカル(DOW)
米化学最大手のダウ・ケミカルの4−6月(第2四半期)決算は、前年同期に比べて需要が改善したことから、利益は予想を上回った。シティグループは投資判断を「ホールド」から「買い」に引き上げた。

★ゼネラル・エレクトリック(GE)
ゴールドマン・サックスは、ゼネラル・エレクトリック(GE)の投資判断を「ニュートラル」から「バイ」に引き上げた。金融部門GEキャピタルのスピンオフの可能性が後退したことを理由に挙げた。目標株価についても従来の13ドルから15ドルに引き上げた。


(今週の主要イベント)
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企業決算発表予定表
8月3日
(企業名)  (四半期) (予想一株当たり利益) (予想売上高)
APC      第2四半期     −0.68$       18$
BBD      第2四半期      0.27$


8月4日
(企業名)  (四半期) (予想一株当たり利益) (予想売上高)
ADM      第4四半期      0.44$       152億$
WFMI      第3四半期      0.19$       19億$


8月5日
(企業名)  (四半期) (予想一株当たり利益) (予想売上高)
CSCO     第4四半期      0.28$       85$
RIG      第2四半期      3.03$


8月6日
(企業名)  (四半期) (予想一株当たり利益) (予想売上高)
MBI      第2四半期     −0.92$     3億600万$
NVDA     第2四半期     −0.02$      7億200万$


今週の展望
先週は週間で過去最大(1,150億ドル)の米国債入札があり、短期債は入札不振、需給関係悪化懸念から売られた。一方長期債は、米実質国内総生産(GDP)速報値で個人消費が減少したことや、GDPの年間改定値で第1四半期(1−3月)が前月発表の5.5%減から6.4%減に下方修正されたこと等を背景に物色され、利回り曲線のフラット化が進んだ。

ただし、6月米新築住宅販売が8年ぶりの大幅な伸びとなったり、主要企業決算の多くが市場予想を上回ったことから、株式の方は、牛歩的上昇を遂げ、ダウ指数、S&P500指数は戻り高値を更新して越週した。ダウ指数は月間ベースで2002年以来の大幅高。S&P500指数は、昨年11月4日以来の高水準。月間では7.4%上昇し、07年以来で最長の5カ月連続高となった。

以下のダウ指数では、ボリンジャー・バンドの上限が上昇していることや、200日移動平均線が下降から横ばいに転じていることから、相場の基調は強い。
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ここで相場のテーマを2つ紹介しよう。

一つ目は、中古車買い替え支援策である。
米下院は7月31日、燃費の良い新車への買い替えに最大4500ドルを補助する制度について、予算を当初の10億ドルから30億ドルに増やすことを賛成多数で決めた。中古車買い替え支援策の影響で7月の自動車販売台数は年初来で最高となる可能性があるとの見方が浮上。これを受け、フォードやグッドイヤー・タイヤ&ラバーが大きく上げた。
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また、以下の通りの強材料も存在する。
中国物流購買連合会が1日発表した7月の製造業購買担当者指数(PMI)は53.3(前月は53.2)と、製造業の拡大・縮小の分かれ目となる50を5カ月連続で上回った。過去最高の貸し出しや4兆元(約55兆5000億円)の景気刺激策が中国経済の回復をけん引した。これを受けた鉄鋼や銅価格の上昇を背景にUSスチール(X)やニューコア(NUE)、フリーポート・マクモラン(FCX)等が買われた。

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もう一つは、住宅統計改善を受けたメリット享受株である。
6月の中古住宅販売件数は前月比3.6%増の489万戸となった。これで3カ月連続プラス。水準は昨年10月以来の最高。予想(484万戸)も上回った。

また、6月の新築一戸建て住宅販売は前月比11%増の38万4000戸と、昨年11月以降で最高を記録した。伸び率は過去8年で最大。予想では前月比3%増が見込まれていた。

もちろん、住宅建設株(レナー、KBホーム、トール・ブラザーズ等)は上昇している。
以下はレナー株の株価チャートである。
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これに加え、投資妙味の増しているのが、住宅ローンを扱っている大手地銀株である。以下はバンカメ株の株価チャートである。
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また、銀行株には、レガシーローン・プログラム開始との好材料もある。

米連邦預金保険公社(FDIC)は7月31日、不良債権買い取りに向けた官民投資プログラムの一環として策定したレガシーローン・プログラムを試験的に開始したと発表。今回の売却で対象となる不良債権の保有者については明らかにされていない。対象となる住宅ローンポートフォリオは有限責任会社(LLC)に移される。プログラムへの参加を希望する投資家は秘密保持契約を結んだ上で、9月までに入札を行わなければならないとしている。レバレッジ規模の制限や住宅ローン担保などによりFDICは損失から保護されるとしている。

さて、今週は7月ISM製造業景況感指数、新車販売、6月個人消費支出、7月ISM非製造業景況感指数、7月の雇用統計が発表となる。個別では、5日にシスコシステムズが5〜7月期決算を発表する。

相場の基調は強く、引き続き調整は時間(日柄)でこなして行くパターンを取るであろう。


予想レンジ
ダウ指数…9,000ドル〜9,300ドル
ナスダック指数…1,950〜2,100



米国債券先週の動き
債券は長期債が買われた。30年債の利回りは対前週比0.24%低下。10年債は同0.18%低下。また、5年債は同0.01%低下。2年債は同0.10%上昇。

   (長期債しっかりの背景)
★米実質国内総生産(GDP)速報値で個人消費が減少した。
★GDPの年間改定値で第1四半期(1−3月)が前月発表の5.5%減から6.4%減に下方修正された。

   (2年債下落の背景)
★米財務省が実施した2年債420億ドルの入札で最高落札利回りが市場予想を上回った。2年債入札の最高落札利回りは1.08%。予想では1.058%が見込まれていた。先週は、週間の入札規模としては過去最大となる1150億ドルの国債入札が実施された。

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2006年6月8日、10年債利回りが2年債利回りを下回る長短金利の逆転が発生したが、2007年3月21日、FOMCが政策金利を据え置く一方で、利上げへの傾斜姿勢を取りやめたことから利下げ観測が再度カムバックした為、順イールドに戻った。それから、5月3日再度逆イールドとなったが、6月8日に再度順イールドに戻った。その後、度重なる利下げを経た後、2009年7月31日現在も順イールド状態は変わらず。


為替相場先週の動き
ニューヨーク外国為替市場では、ドルが対ユーロで0.71%、対円で0.39%下落した。

   (ドル安の背景)
★リセッションが世界的に終わりつつあるとの観測から、安全通貨への需要が損なわれた。
★6月の米新築住宅販売が前月比で大幅に拡大した。
★米失業保険の継続受給者数が3週連続で減少し、景気底入れの兆しととらえられたことで、安全への逃避先としてのドルへの需要が弱まった。
★7月の英住宅価格が3カ月連続で上昇したことや、世界的な株価の上昇が背景となった。

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原油相場先週の動き
原油価格は続伸。前週末比で2.06% 上昇した。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)で取引されている原油先物9月限は前週末の1バレル=68.05ドルに対し、7月31日は69.45ドルで越週した。

   (原油価格反発の背景)
★6月の米新築住宅販売が8年ぶり大幅な伸びとなった。
★30日発表された決算が相次いで市場予想を上回った。
★新規失業保険申請件数が6月下旬を下回る水準にとどまった。また、失業保険の継続受給者数は3週連続で減少した。
★第2四半期の米実質国内総生産(GDP)のマイナス幅が市場予想より小さかったことから、米国がリセッションから脱しつつあるとの観測が高まった。


=以上=
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2009年07月27日

今週の米国株相場展望 7/26

今週の米国株相場展望

7月26日

森  崇


先週の動き
ダウ指数は先週3.99%上昇。S&P500指数は同4.13%上昇。ナスダック指数は4.21%上がった。また、小型株指数のラッセル2000指数は同5.63% 上昇した。

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(先週の米国株相場の動き)
週を通じて堅調に推移した。

(堅調相場の背景)
1.強めの経済指標が目立った。
★6月の米景気先行指標総合指数(LEI)は前月比0.7%上昇(5月は1.3%上昇)と、予想(0.5%上昇)を上回った。これで3カ月連続プラス。3カ月以上連続上昇したのは2004年以来初めて。5月分は1.3%上昇と、速報値の1.2%上昇から上方修正された。

★6月の中古住宅販売件数は前月比3.6%増の489万戸となった。これで3カ月連続プラス。水準は昨年10月以来の最高。予想(484万戸)も上回った。一方、前月は472万戸(速報値477万戸)に下方修正された。

2.バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長発言が好感された。

  (21日発言要旨)
★景気は安定化への暫定的な兆候がみられる。しかし、この先も長期間にわたり相当緩和的な金融政策を継続する。
★景気下降ペースは著しく減速したようだ。その一方で現実的な景気後退や抑制されたインフレ圧力を考慮し、金融政策の中心は引き続き景気回復の促進になる。

  (24日発言要旨)
★バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長が、金融危機対策として講じてきた緊急融資プログラムを巻き戻しつつあると述べたことから、最悪局面が終了したとみなされた。

3.主要企業に好材料が続出。

  (好決算)
★ハリー・バートン(HAL)
油井サービス大手が第2四半期決算発表。一部項目を除くEPSが30セントと、予想を13%上回った。

★キャタピラー(CAT)
建機最大手のキャタピラーが発表した4−6月(第2四半期)決算は、一部項目を除く1株当たり利益がアナリスト予想を大きく上回った。同社はまた、政府の景気対策が世界的な需要の改善に寄与し始めているとして、通期の利益予想を上方修正した。

★メルク(MRK)
米製薬大手メルクが発表した4−6月(第2四半期)決算は、前年同期から減益となったものの、一部項目を除いた1株当たり利益は83セントと、予想(77セント)を上回った。

★ユナイテッド航空(UAUA)
米航空大手ユナイテッド航空の持ち株会社UALが21日発表した2009年4−6月期決算は、1株当たり利益は0.19ドル。ただ、航空燃料調達に絡むヘッジ契約による利益を除いた1株当たり損益は2.23ドルの赤字だった。1株当たり2.61ドル程度の赤字を見込んでいた市場予想は上回った。ただし、世界的な景気低迷に伴う旅客・貨物需要の低迷が収益を圧迫しており、同社は年末にかけて一層の売り上げ減少を見込んでいる。

★TDアメリトレード・ホールディング(AMTD)
オンライン証券のTDアメリトレード・ホールディングが発表した4−6月(第3四半期)決算は、一部項目を除いた1株当たり利益が33セントと、アナリスト予想平均を大幅に上回った。

★アップル(AAPL)
コンピューター・電子機器大手のアップルが21日引け後発表した4−6月(第3四半期)決算は、売上高と利益がアナリスト予想を上回った。パソコン(PC)「マッキントッシュ(マック)」の低価格版の投入で新規顧客獲得を図ったのが奏功。

★リニア・テクノロジー(LLTC)
携帯電話やコンピューター向けの半導体メーカー、リニア・テクノロジーが発表した4−6月(第4四半期)決算は、1株当たり利益が25セントと、予想を12%上回った。

★ファイザー(PFE)
医薬品最大手のファイザーは通期の利益見通しを上方修正。同社が発表した4−6月(第2四半期)決算は減益となったものの、利益は市場予想を上回った。同社は人員削減によるコスト削減効果が、コレステロール降下剤「リピトール」」と高血圧治療薬「ノルバスク」の販売落ち込みによる影響を補った。

★スターバックス(SBUX)
世界最大のコーヒー店チェーン、スターバックスが21日引け後発表した4−6月(第3四半期)決算は、利益がアナリスト予想を上回った。同社はまた、通期のコスト削減目標を引き上げた。

★VF(VFC):2.2%高の61.92ドル。衣料メーカー最大手のVFが発表した4−6月(第2四半期)決算は利益が予想を上回った。在庫圧縮と一般管理費の削減が寄与した。

★CMEグループ(CME)
先物取引所最大手のCMEグループが23日発表した4−6月(第2四半期)の売上高は15%増の6億4800万ドル、昨年買収したニューヨーク商業取引所(NYMEX)の利益を含めると、1株当たり利益は3.37ドルとなった。予想EPSは3.23ドルだった。経費削減や取引手数料の引き上げが寄与した。

★ブリストル・マイヤーズ(BMY)
医薬品大手ブリストル・マイヤーズ・スクイブが23日決算発表。4−6月(第2四半期)の売上高は3.5%増の53億8000万ドル、一時項目を除く1株当たり利益は56セントとなった。予想EPSは48セントだった。人員削減のほか、統合失調症治療薬「アビリファイ」や抗血栓薬「プラビックス」の販売増が増益に寄与した。

★AT&T(T)
米電話通信最大手のAT&Tが23日に発表した2009年4−6月(第2四半期)決算は、売上高が307億ドル、1株当たり利益は54セントとなった。予想は、売上高が307億ドル、EPSが51セントだった。同社が米国で独占契約しているアップルの「iPhone」のユーザーは、データ利用額が他の機種に比べて平均60%高い。

★ゼロックス(XRX)
高速カラープリンターで最大手、ゼロックスが23日発表した2009年4−6月(第2四半期)の売上高は、前年同期比18%減の37億3000万ドル、1株当たりの利益は16セントとなった。予想は、売上高が37億3000万ドル、EPSは11セントだった。ゼロックスはこの1年で従業員を約3000人削減。利益を下支えするため、今年は3億ドル以上のコスト削減を進めている。

★フォード(F)
経営再建中のフォード・モーターが23日に発表した4−6月期決算は、22億6100万ドルの純利益となった。黒字転換は5四半期ぶり。自動車事業は赤字が続いたが、債務削減に伴う一時的な利益が黒字化に貢献した。しかし主力の米市場の販売不振は続いており、一時的な特殊要因である債務削減などの利益を除くと、6億3800万ドルの損失だった。ただし、赤字幅がアナリスト予想より小幅となった。

★3M(MMM)
米化学大手3Mが23日発表した4−6月(第2四半期)決算は、一部コストを除く1株当たり利益が1.20ドルと予想(同94セント)を上回った。豚インフルエンザの影響でマスクなどへの需要が高まり、ヘルスケア製品の売上高は2.2%増加したが、全体の売上高は15%減の57億2000万ドルだった。

★ハーシー(HSY)
米チョコレート菓子最大手のハーシーは、通期の調整後1株当たり利益の増加幅が長期目標である6−8%をやや上回ると見込んでいることを発表した。

  (好材料)
★レッドハット(RHT)
リナックス関連ソフトウェア会社である同社株が急伸。CITグループに代わって、7月24日の引け後からS&P500指数に採用される。

★ウォルト・ディズニー(DIS)
モルガン・スタンレーが同社株の投資判断を“オーバー・ウェイト”に引き上げた。ケーブルTVネットワークで、同社は優良資産を有しているとしている。

★ピーボディー・エナジー(BTU)
石炭大手株の投資判断が“マーケット・パフォーム”から“アウトパフォーム”に引き上げられた。FBRキャピタルが引き上げた。

★ラスベガス・サンズ(LVS)
香港のマカオ・カジノズのIPO上場申請を来月始めにすると言う。

★ダウケミカル(DOW)
ゴールドマン・サックスの“コンビクション・バイ・リスト”に掲載された。コスト削減、及び配送のシナジー効果により、景気回復の際のメリットは大きいと言う。

★シスコ・システムズ(CSCO)
CSFBが同社株を“中立”から“アウトパフォーム”に引き上げた。事業環境好転が背景。

★CBSコープ(CBS)
TV放送今局株の投資判断が“オーバー・ウェイト”に引き上げられた。モルガン・スタンレーが引き上げた。2010年には、同社のローカル広告事業が魅力的存在になるだろうと言う。

★キャタピラー(CAT)
バンカメが同社株の投資判断を“中立”から“買い”に引き上げた。市況は底打ちと言う。

★コン・ウェイ(CNW)
米トラック輸送2位のコン・ウェイが発表した4−6月(第2四半期)決算は、1株当たり利益が64セントと、予想の4倍以上となった。J.P.モルガン・チェースは同社の株式投資判断を「ニュートラル」から「オーバーウエート」に引き上げた。

★ラジオシャック(RSH)
RBCキャピタル・マーケッツは米家電量販2位ラジオシャックの投資判断を「セクターパフォーム」からアウトパフォーム」に引き上げた。FBRキャピタル・マーケッツは「マーケットパフォーム」から「アウトパフォームに引き上げた。


マクロ経済指標
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企業決算発表予定表
7月27日

(企業名)  (四半期) (予想一株当たり利益) (予想売上高)

AMGN     第2四半期       1.16$       36億$
GLW      第2四半期       0.32$       14億$

7月28日

(企業名)  (四半期) (予想一株当たり利益) (予想売上高)
TEVA     第2四半期      0.80$        35億$
X       第2四半期     −3.45$        24億$
VIA      第2四半期      0.50$        35億$

7月29日

(企業名)  (四半期) (予想一株当たり利益) (予想売上高)
AKAM     第2四半期      0.41$     2億1100万$
LSI      第2四半期     −0.02$     5億600万$
SAP      第2四半期      0.51$       36億$

7月30日

(企業名)  (四半期) (予想一株当たり利益) (予想売上高)
AVP      第2四半期     0.34$        24億$
EK       第2四半期    −0.37$        18億$
IP       第2四半期     0.00$        58億$
K        第2四半期     0.82$        32億$
LVS       第2四半期    −0.01$        11億$
MA        第2四半期     2.42$        12億$
MFE       第2四半期     0.57$      4億6700万$
MOT       第2四半期    −0.04$        56億$


今週の展望
マクロ、ミクロ両面で強気内容が示された。米国株の上昇がほぼ一本調子できたため上昇の持続性には警戒感もあるが、基調は強い。ただし、以下の注目要因が存在する為、売りも予想される。

今週は米国債入札が注目される。28日に2年債(420億ドル)、29日に5年債(390億ドル)、30日に7年債(280億ドル)と、過去最高規模の発行額となる計1090億ドルの国債入札のほか、27日には20年物インフレ連動債(TIPS、リオープン発行)の入札も行われる。

以下の通り、ダウ指数と25日移動平均線との乖離が6.8%になっていることや、オシレータ指標のRSIが70を超えてきた。
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また、ボリンジャー・バンドの上限に接近しつつあること、ストキャスティックが過熱感を示している。
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テクニカルには、一休みするレベルに達しつつある。今週は4〜6月の米実質国内総生産(GDP)速報値が注目される。市場予想平均はマイナス1.5%。今週の米国株は高原状態が予想される。


予想レンジ
ダウ指数…8,800ドル〜9,200ドル
ナスダック指数…1,900〜2,100



米国債券先週の動き
債券は小動き。30年債の利回りは対前週比0.03%上昇。10年債は同変わらず。また、5年債は同0.02%低下。2年債は同変わらず。

   (債券相場への圧迫要因)
★来週予定されている一連の大型国債入札を控えて需給悪化に対する懸念が高まり、国債相場は下落(利回りは上昇)した。需給悪化への不安が再燃し、相場を圧迫した。来週は、28日に2年債(420億ドル)、29日に5年債(390億ドル)、30日に7年債(280億ドル)と、過去最高規模の発行額となる計1090億ドルの国債入札のほか、27日には20年物インフレ連動債(TIPS、リオープン発行)の入札も行われる。

★さらに米国株が大幅上昇して始まったことから、質への逃避の買いが後退し、国債相場の重しとなった。

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2006年6月8日、10年債利回りが2年債利回りを下回る長短金利の逆転が発生したが、2007年3月21日、FOMCが政策金利を据え置く一方で、利上げへの傾斜姿勢を取りやめたことから利下げ観測が再度カムバックした為、順イールドに戻った。それから、5月3日再度逆イールドとなったが、6月8日に再度順イールドに戻った。その後、度重なる利下げを経た後、2009年7月24日現在も順イールド状態は変わらず。


為替相場先週の動き
ニューヨーク外国為替市場では、ドルが対ユーロで0.42%下落、対円では0.96%上昇した。

   (対ユーロでドル安の背景)
世界的に株価が上昇したため、安全通貨ドルの需要が弱まった。

   (対円でドル高の背景)
日本の金融機関が海外資産に投資するファンドのため、少なくとも7000億円の調達を進めていることも円売り材料。

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原油相場先週の動き
原油価格は急反発。前週末比で9.72% 上昇した。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)で取引されている原油先物9月限は前週末の1バレル=62.02ドルに対し、7月24日は68.05ドルで越週した。

   (原油価格反発の背景)
★米国株が上昇し、世界最大の燃料消費国である米国でリセッションが和らいでいることが示唆された。


=以上=
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2009年07月20日

今週の米国株相場展望 7/19

今週の米国株相場展望

7月19日

森  崇


先週の動き
ダウ指数は先週7.33%上昇。S&P500指数は同6.97%上昇。ナスダック指数は7.44%上がった。また、小型株指数のラッセル2000指数は同7.95% 上昇した。

(S&P500指数先週1週間の動き)
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業種別値上がり、値下がり動向は以下の通り。
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(先週の米国株相場の動き)
先週は、終始堅調に推移した。

(株式しっかりの背景)
1.主要企業に好業績が出た。
★ジョンソン&ジョンソン(JNJ)
医療品メーカーの同社が14日寄り前決算発表。2009年4−6月(第2四半期)の売上高は前年同期比7.4%減の152億ドル、1株当たり利益が1.15ドルだった。予想は、売上高が150億8150万ドル、一株当たり利益が1.12ドルだった。

★ゴールドマン・ザックス(GS)
ゴールドマン・ザックスが14日発表した2009年4−6月(第2四半期)の 総収入は138億ドル、1株当り利益は4.93ドルとなった。予想は、売上高が108億5700万ドル、同EPSが3.65ドルだった。決算は、利益が過去最高となった。トレーディング収入と株式引き受けの手数料が過去最高を記録した。

★インテル(INTC)
インテルが14日引け後好決算を発表した。

第2四半期(4-6月期)実績

○売上高…80億2000万ドル(コンセンサス予想72億9000万ドル)
○一株当たり利益(非GAAP、EU罰金分を除く)…0.18ドル(コンセンサス予想は0.08ドル)  
○粗利率…51%

第3四半期(7-9月期)予想

○売上高…81億ドル‐89億ドル(コンセンサス予想78億6000万ドル)
○粗利率…53%±2%(コンセンサス予想51%)

通期ベースの予想

○設備投資額…47億ドル±2億ドル
○研究開発費等…106億ドル‐108億ドル

★バイオジェン・アイデック(BIIB)が好決算から買われた。
多発性硬化症治療薬で最大手のバイオジェン・アイデックが16日寄り前決算発表。4−6月(第2四半期)の売上高は前年同期比10%増の11億ドル、研究コストを除いた1株当たり利益は75セントとなった。予想は、売上高が10億7690万ドル、同EPSは68セントだった。このうち多発性硬化症治療薬「タイサブリ」の販売は27%増加した。

2.経済指標がしっかりだった。
★6月の小売売上高は前月比0.6%増加し、予想(0.4%増)を上回った。自動車販売のインセンティブやガソリン価格の上昇が寄与した。これを受け、ウォルマート(WMT)、ターゲット(TGT)、コストコ(COST)等小売関連株が買われた。

★ニューヨーク連邦準備銀行が15日発表した7月のニューヨーク州地域製造業調査は、総合景況指数がマイナス0.55(前月マイナス9.41)と、予想(マイナス4.50)を上回った。

★6月の米鉱工業生産指数は前月比0.4%低下した。低下率は過去8カ月間で最小。予想は0.6%の低下だった。5月は1.2%低下と、速報値の1.1%低下から下方修正された。

★6月の住宅着工件数は前月比3.6%増の58万2000戸(前月は56万2000戸)と、予想(53万戸)を上回った。昨年11月以来の最多。一戸建て住宅の着工が急増した。これを受け、J.P.モルガン・チェースのほか、KBホームやD.R.ホートンなど住宅建設株も上げた。


今週のマクロ経済指標

マクロ関連

7月20日(月)
   
*6月景気先行指標総合指数…コンセンサス予想0.5%(前月は1.2%)

7月21日(火)
 
*6月シカゴ連銀全米活動指数…(前月は-2.30)

*7月20日ABC消費者信頼指数…(前月は-51)   
   
7月22日(水)

*7月17日MBA住宅ローン申請指数…(前月は4.3%)

*5月住宅価格指数(前月比) …コンセンサス予想-0.2%(前月は-0.1%)  
                                
7月23日(木)

*7月18日新規失業者保険申請件数…コンセンサス予想565,000人(前月は522,000人)
                              
*7月11日失業保険継続受給者数…(前月は6,273,000人)

*5月RPXコンポジット28dy指数(前年比)…(前同期比-19.69%)

*5月RPXコンポジット28dy指数…(前月は188.52)

*6月中古住宅販売件数…コンセンサス予想480万件(前月は477万件)

*6月中古住宅販売件数(前月比)… コンセンサス予想0.6%(前月は2.4%)

7月24日(金)

*7月ミシガン大学消費者信頼感指数…コンセンサス予想 64.8(前月は64.6)

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今週の展望
好経済指標、主要企業の好決算を足がかりに全般急反発した。この結果ナスダック指数が戻り高値を更新した。ダウ指数とS&P500指数は戻り売りの出る水準でもあり、足踏み状態だった。

インテルの好決算は影響が大きい。恐らく半導体関連は良い決算が期待できよう。
また、グーグル決算も悪くないことから、ネット関連も基本的にしっかりの業績を発表しそうだ。

ハイテクの売れ筋はネットブックと、スマートフォンであり、この流れに沿った企業の決算は基本的に堅調が見込めよう。

今週も主要企業の好業績を支援材料として、更に全般上値追いの展開になりそうだ。

予想レンジ
ダウ指数…8,600ドル〜9,000ドル
ナスダック指数…1,850〜1,950



米国債券先週の動き
債券は6週間ぶりに下落。30年債の利回りは対前週0.35%上昇。10年債は同0.36%上昇。また、5年債は同0.29%上昇。2年債は同0.09%上昇。

(債券相場の弱材料)
★6月の小売売上高が市場の予想を上回った。
★6月の生産者物価指数(PPI)全完成品は前月比で市場予想の2倍に上昇。
★6月の米国鉱工業生産指数の低下率が過去8カ月間で最小となったことを受け、国債の相対的な安全性に対する需要が減退した。
★6月の米消費者物価指数(CPI)が前月比0.7%上昇と市場予想を上回る伸びを示した。
★7月のニューヨーク連銀製造業景況指数の減速ペースが過去1年以上で最も緩やかだった。
★6月の住宅着工件数が増加したことで、住宅市場の安定化とリセッション緩和の可能性が新たに示唆されたことが背景。
★株式相場が続伸した。

           (1年間の10年国債利回り推移)
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2006年6月8日、10年債利回りが2年債利回りを下回る長短金利の逆転が発生したが、2007年3月21日、FOMCが政策金利を据え置く一方で、利上げへの傾斜姿勢を取りやめたことから利下げ観測が再度カムバックした為、順イールドに戻った。その後、5月3日再度逆イールドとなったが、6月8日に再度順イールドに戻った。その後、度重なる利下げを経た後、2009年6月12日現在も順イールド状態は変わらず。ただし、売られたことから、利回り曲線はパラレル上方移動した。特に長期債の利回り上昇が著しい。
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為替相場先週の動き
ニューヨーク外国為替市場では、ドルが対ユーロで1.1%下落。対円では1.95%上昇した。

(対ユーロでドル安の背景)
米国主要企業決算がアナリスト予想を上回り、世界的に株価が上昇、安全資産への需要が後退した。

(直近1年間のドルの対ユーロ<茶線>、対円<黒線>上昇率推移)
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原油相場先週の動き
原油価格は反発。前週末比で6.12% 上昇した。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)で取引されている原油先物8月限は前週
末の1バレル=59.89ドルに対し、7月17日は63.56ドルで越週した。

(原油価格反発の背景)
★米エネルギー省が発表した週間在庫統計で、製油所の稼働率上昇に伴い原油在庫が予想以上に減少したことが明らかになった。先週の原油在庫は281万バレル減少した3億4450万バレル。予想は210万バレルの減少だった。製油所の稼働率は87.9%と8月以来の高水準。
★株式相場の上昇で、景気の先行きに対する楽観が広がったことも、原油相場の支援材料となった。
★ニューヨーク大学のヌリエル・ルービニ教授(経済学)がリセッションは年内に終了するとの見通しを示したことを好感した。

=以上=
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2009年07月13日

今週の米国株相場展望 7/12

今週の米国株相場展望

7月12日

森  崇


先週の動き
ダウ指数は先週1.62%下落。S&P500指数は同1.93%下落。ナスダック指数は2.25%下がった。また、小型株指数のラッセル2000指数は同3.26% 下落した。

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(先週の米国株相場の動き)
火曜日に大幅安を演じたほかは、全般小動きだった。

(火曜日大幅安の背景)
リセッション長期化、企業業績悪化懸念が背景。

1.米銀行協会(ABA)の7日の発表によると、ホームエクイティローン(住宅評価額から住宅ローン残債を差し引いた含み益を担保とした融資)の返済遅延率は2009年1−3月(第1四半期)に過去最高に上昇。ホームエクイティローンに占める遅延の割合は3.52%と、昨年10−12月(第4四半期)の3.03%から上昇した。

2.米大統領経済顧問のローラ・タイソン氏は7日、「米国はインフラ投資に焦点を絞った景気刺激策第2弾の取りまとめを検討するべきだ。2月に承認された7870億ドル規模の刺激策はやや小さ過ぎる」と発言。5日にバイデン米副大統領と大統領経済諮問委員会(CEA)のグールスビー委員が、現在の刺激策が完全実施される前段階で作成を議論するのは時期尚早と発言しており、タイソン氏の今回の発言と食い違っていることに懸念が高まった。

3.ドイツ銀行は、米銀は信用損失が膨らむことに加え、規制当局が自己資本比率の要件を引き上げることによって、最大で3000億ドルの追加資本調達が必要になる可能性があるとの見方を示した。

4.債券ファンド最大手、米パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)のファンドマネジャー、ポール・マカリー氏は7日、米経済が抱える主な問題はインフレというよりも、むしろデフレだと述べた。


今週のマクロ経済指標
マクロ関連
7月13日(月)
 *6月月次財政収支…コンセンサス予想-700億ドル(前月は335億ドル)


7月14日(火)
 *6月生産者物価指数(前月比)… コンセンサス予想0.8%(前月は0.2%)

 *6月PPI(除食品&エネルギー/前月比)… コンセンサス予想0.1%(前月は-0.1%)    

 *6月生産者物価指数(前年比)… コンセンサス予想-5.2%(前同期比は-5.0%)   

 *6月PPI(除食品&エネルギー/前年比)… コンセンサス予想3.2%(前同期比は3.0%)

 *6月小売売上高…コンセンサス予想0.5%(前月は0.5%)

 *6月小売売上高(除自動車)…コンセンサス予想0.5%(前月は0.5%)

 *7月IBD/TIPP景気楽観指数…(前月は50.8)

 *5月企業在庫…コンセンサス予想-1.0%(前月は-1.1%)

 *7月12日ABC消費者信頼指数…(前月は-52)


7月15日(水)
 *7月ブルームバーググローバル信頼感指数…(前月は43.57)

 *7月10日MBA住宅ローン申請指数…(前月は10.9%)

 *6月消費者物価指数(前月比)…コンセンサス予想0.6%(前月は0.1%)

 *6月CPI(除食品&エネルギー/前月比) …コンセンサス予想0.1%(前月は0.1%)

 *6月消費者物価指数(前年比)… コンセンサス予想-1.6%(前同期比は-1.3%)

 *6月CPI(除食品&エネルギー/前年比) …コンセンサス予想1.7%
(前同期比は1.8%)

 *6月CPIコア指数 季調済…(前月は218.910)

 *6月消費者物価指数(季調前)… (前月は213.856)

 *7月ニューヨーク連銀製造景気指数…コンセンサス予想-5.0(前月は-9.41)

 *6月鉱工業生産…コンセンサス予想0.6%(前月は-1.1%)

 *6月設備稼働率…コンセンサス予想67.9%(前月は68.3%)


7月16日(木)
 *7月11日新規失業者保険申請件数…(前月は565,000人)

 *7月4日失業保険継続受給者数…(前月は6,883,000人)

 *5月ネット長期TICフロー…(前月は1,120億万ドル)

 *5月ネットTICフロー合計…(前月は5,320億ドル)

 *7月フィラデルフィア連銀…コンセンサス予想-5.0(前月は-2.2)

 *7月NAHB住宅市場指数…コンセンサス予想16(前月は15)


7月17日(金)
 *6月住宅着工件数…コンセンサス予想530,000(前月は532,000)

 *6月建設許可件数…コンセンサス予想520,000(前月は518,000)


ミクロ関連
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今週の展望
決算発表を控え、リセッション長期化、企業業績悪化懸念から株式相場は調整している。質への逃避から、国債が買われ、債券相場は5週間連続高となった。

また、カリフォルニア州の借用書問題もここに来て圧迫要因になっている。カリフォルニア州は263億ドルの財政赤字を抱え、17年ぶりに「借用証」(IOU)の発行に踏み切った。しかし7日、複数の米大手銀行がカリフォルニア州政府発行の借用書の受け取りを10日に停止する意向を表明。バンク・オブ・アメリカやシティグループ、ウェルズ・ファーゴ、JPモルガン・チェースを含むこれらの銀行はこれまで、借用書の受け入れを約束していただけに、不安が増幅された形だ。

米国株式相場の方は、とりわけ業界を代表する大型株に機関投資家の大口売りが出た。GE、オラクル、マイクロソフト、フォード、デル等が下落。とりわけ好業績で、値保ちの良かった大型株も売られた。決算発表前にとりあえず売っておこうとのムードが高まった。

また、リセッション長期化、原油需要減退との連想から、商品相場の中でも、原油相場が高値から20%程度下落している。以下は、原油現物相場に連動するETFである。25日移動平均線から既に13.5%も下方に乖離しており、オシレーター系指標の中では、スロー・ストキャスティックが買いシグナルを示している。

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一方、質への逃避から国債が買われ、10年国債の利回りは7月10日3.29%で引けている。以下は、10年国債の利回りに連動するETF“TNX”である。この数値の10分の1が実際の利回りである。テクニカル指標で見ても、かなり短期的に下落したことを示している。

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ダウ指数、S&P500指数が75日移動平均線を下回ったが、ダウ指数は当面の下値目処(8,000ドル)に接近している。

さて、いよいよ四半期決算発表が始まる。トムソン・ロイターのデータによると、S&P500指数採用企業の第2四半期利益は35.5%減少したと予想されている。10業種全てで悪化したとみられる。減少幅が最も小さかったのが医薬・ヘルスケア部門で、2%減少。減少幅が最も大きかったのが素材とエネルギー部門。素材部門は78.9%、エネルギー部門は64.7%減少が予想されている。

(ハイテク株に強気見通し)
シティ・グループのエクイティ・ストラテジスト、トビアス・レブコビッチ氏が米国株への強気コメントを出している。この夏場に米国株は反発しよう。4-6月期のアナリスト利益予想は低過ぎると言うものである。同氏は、今年3月9日の相場の底で、米国株の買い推奨を行った数少ないストラテジストの一人である。

また、7月10日、ゴールドマン・サックスのアナリスト、デービッド・ベイリー氏が、ハイテク株に強気コメントを出した。景気悪化、企業によるIT投資抑制等の悪材料が蔓延しているが、最悪期は脱した。季節的に強い下半期に入っており、このトレンドは来年初めまで継続しよう。さらに需要増加が、過去12ヶ月間のコスト削減により好業績につながろう。2010年から企業によるPCアップグレード・サイクルが始まるだろう。そのきっかけは、刷新投資とウィンドウズ7の市場導入であるとしている。

この中でも、デル(DELL)株を“中立”から“コンビクション・バイ”に引き上げるとともに、株価目標を14ドルから17ドルに引き上げた。企業のアップグレード・サイクルに遭遇することや、同社の営業費用削減効果を背景にしている。株価が昨年以来48%も下落して値ごろ感も出ていると言う。

また、シーゲート・テクノロジー株の投資判断を“中立”から“買い”に引き上げた。ハードディスク・ドライブ市場では、同社の強さが生きてくると言う。

さらにゴールドマン・サックスは7月8日、インテルのコールオプション買い(8月権利行使価格17ドルもの)を推奨。4−6月期の売上高と、次四半期の売上高ガイダンスが予想を上回る可能性が高いとしている。

(なぜハイテク株は見通し良好なのか)
金融危機にあっても、相対的にバランス・シートが痛んでいないと言う事実がある。また、債務が少なく、キャッシュが豊富なため、困難な時期にあっても事業拡大を図れる。直近5年間で、ハイテク・セクターの配当成長率は平均1年間で20%近くあった。これは他のセクターを凌駕している。

また、ハイテク企業の売上比率の半分以上が海外である。米国内より、海外の方が高い経済成長率が見込まれ、国内の不振に対するヘッジ機能も果たしている。米国では、税制や、その他規制によって成長が阻害される可能性がある。また、人口高齢化や、企業によりデ・レバレッジングの動きも阻害要因と考えられる。また、これからますます多くの企業が、利益率を高めるために、生産性を高める行為に出るだろう。これらメリットを享受するセクターは、やはりハイテクである。

実際、第2四半期のパフォーマンスを見ると、ハイテクは、金融セクターの35%に次ぎ19.4%と、セクター別では、第2位の高パフォーマンスを演じている。

以下は、ハイテク株の代表格であるナスダック指数のテクニカル・チャートである。

75日移動平均線を依然上回っていること、雲の上限に差し掛かかったこと、スロー・ストキャスティックが短期的“底値”を示していること等から下げ渋りが予想される。
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今週は、14日発表の小売売上高(6月)、17日の住宅着工件数(6月)等が注目される。4−6月期決算発表はシティグループやゴールドマン・サックスなど金融大手が出そろう。トレーディング益で不良資産の損失を補えるかどうかが注目点。インテル、グーグル、ゼネラル・エレクトリック(GE)も決算を発表する。

インテル、グーグルは好決算が予想され、これまでの相場の調整を考えると、むしろ米国株は下げ渋り、反発の機会をうかがう展開になりそう。


予想レンジ
ダウ指数…8,000ドル〜8,250ドル
ナスダック指数…1,725〜1,800



米国債券先週の動き
債券は堅調のうちに続伸。30年債の利回りは対前週比0.12%低下。10年債は同0.20%低下。また、5年債は同0.22%低下。2年債は同0.09%低下。

(債券相場の強材料)
★米連邦準備制度理事会(FRB)が70億ドル相当の米国債を購入した。
★インフレ連動国債(TIPS)の入札で需要が9年ぶりの高水準に達したことを好感し、買いが入った。発行額80億ドルの10年物TIPS入札では応札倍率が2000年以来で最高となった。
★350億ドルの3年債入札では、旺盛な需要で落札利回りが5月以来の低水準になったことも支援材料となった。3年債入札の結果によると、最高落札利回りは1.519%と、入札直前の市場予想の1.494%を上回った。前回入札(6月9日)は1.960%だった。投資家の需要を測る指標の応札倍率は2.62倍と、前回の2.82倍を下回った。
★10年債入札(規模190億ドル)では需要が予想よりも強かった。10年債入札の最高落札利回りは3.365%。海外中央銀行を含む間接入札の落札全体に占める割合は2007年5月以降で最高となった。
★世界的な株安とリセッション長期化観測が高まった。
★7月のロイター・ミシガン大学消費者マインド指数(速報値)は64.6(前月70.8)と、予想(70.0)を下回った。失業率悪化と、ガソリン価格上昇を反映し、3月以来の低水準となった。

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2006年6月8日、10年債利回りが2年債利回りを下回る長短金利の逆転が発生したが、2007年3月21日、FOMCが政策金利を据え置く一方で、利上げへの傾斜姿勢を取りやめたことから利下げ観測が再度カムバックしたため、順イールドに戻った。それから、5月3日再度逆イールドとなったが、6月8日に再度順イールドに戻った。その後、度重なる利下げを経た後、2009年7月10日現在も順イールド状態は変わらず。ただし、5、10年債中心に買われたことから、利回り曲線はパラレル下方シフトした。
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為替相場先週の動き
ニューヨーク外国為替市場では、ドルが対ユーロで0.39%上昇、対円では3.61%下落した。

(対ユーロでドル高の背景)
世界的に景気回復が遅れるとの観測から安全逃避先とされる円とドルの買いが膨らんだ。

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原油相場先週の動き
原油価格は続落。前週末比で10.25% 下落した。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)で取引されている原油先物8月限は前週末の1バレル=66.73ドルに対し、7月10日は59.89ドルで越週した。

(原油価格続落の背景)
★先々週発表された米雇用統計の悪化などで、景気回復への楽観的な見方が後退。
★ドル相場がユーロなどに対して上昇したこともネガティブだった。
★週間石油統計でガソリン在庫が増加した。
★米消費者マインド指数が予想以上に低下し、株も安かった。

=以上=
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2009年07月06日

今週の米国株相場展望 7/5

今週の米国株相場展望

7月5日

森  崇


先週の動き
ダウ指数は先週1.87%下落。S&P500指数は同2.45%下落。ナスダック指数は2.27%下がった。また、小型株指数のラッセル2000指数は同3.12% 下落した。
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(先週の米国株相場の動き)
先週は、独立記念日(7月4日)を控えて3日(金)が休場となり、4日間の短縮取引だった。上げ下げを繰り返しながら、雇用統計悪化を受け、2日(木)急落して終わった。


今週のマクロ経済指標
マクロ関連
7月6日(月)
*6月ISM非製造業景況指数(総合)… コンセンサス予想46.0(前月は44.0)


7月7日(火)
*7月5日ABC消費者信頼感指数…(前月は-51)


7月8日(水)
*7月2日MBA住宅ローン申請指数…(前月は-18.9%)

*5月消費者信用残高…コンセンサス予想-780億ドル(前月は-157億ドル)
                                 
7月9日(木)
*7月4日新規失業保険申請件数…コンセンサス予想-11000件(前月は614,000件)

*6月27日失業保険継続受給者数…(前月は6,702,000人)

*5月卸売在庫…コンセンサス予想-1.0%(前月は-1.4%)

*6月ICSCチェーンストア売上高(前年比)


7月10日(金)
*5月貿易収支…コンセンサス予想-300億ドル(前月は-292億ドル)

*6月輸入物価指数(前月比)…コンセンサス予想2.1%(前月は1.3%) 

*6月輸入物価指数(前年比)…(前同期比は-17.6%)

*6月ミシガン大学消費者信頼感指数…コンセンサス予想71.0(前月は70.8)

ミクロ関連
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今週の展望
6月雇用統計で、非農業部門雇用者数は前月比46万7000人減少したことが相場へのインパクトになった。予想は36万7000人減少だっただけに、この乖離の大きさが悪影響をもたらした。ただし、5月は32万2000人減と、速報値の34万5000人減から修正されている。また、今回の雇用悪化の背景として、6月の悪天候による影響も指摘されている。

米国株相場へのダメージはどうか。以下のチャートの通り、主要3株式指数の中で最も動きの悪いダウ指数が、75日移動平均線(矢印)を下回っていない。これはまだ相場の中期トレンドがまだ崩れていないことを示す。

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今週は6日に6月の米サプライマネジメント協会(ISM)の非製造業景況感指数、10日に5月貿易収支、7月ミシガン大消費者信頼感指数速報値等が発表される。特に、ISM指数は3カ月連続の上昇が見込まれている。

また、債券相場が堅調な動きになってきた。前週に財務省は過去最高となる総額1040億ドルの入札を実施。旺盛な需要を集め、米政府の財政赤字が膨れ上がるなか需要が落ち込むとの懸念は払しょくされた。これは株式にも支援材料となろう。

いよいよ四半期決算発表が始まる。トムソン・ロイターのデータによると、S&P500指数採用企業の第2四半期利益は35.5%減少したと予想されている。10業種全てで悪化したとみられる。減少幅が最も小さかったのが医薬・ヘルスケア部門で、2%減少。減少幅が最も大きかったのが素材とエネルギー部門。素材部門は78.9%、エネルギー部門は64.7%減少が予想されている。

ただし、銀行セクターの決算が少なくとも回復するとの期待がある他、1−3月期決算同様、アナリストによる業績予想下方修正の結果、予想水準がそもそも低レベルに落ち込んだことから、これを上回る決算企業が出てくることも想定される。
また、貿易加重平均によるドル指数が下落していることから、為替面で好影響を受ける企業もでてこよう。

また、世界的な金融緩和を背景にリスクを選好するマネーは潤沢で、相場が大きく崩れることはないとの見方が多い。中国やインド株等の動きは相変わらず堅調である。

以上より米国株の下値は限定的となろう。


予想レンジ
ダウ指数…8,250ドル〜8,500ドル
ナスダック指数…1,750〜1,820



米国債券先週の動き
債券は特に短期ものが買われた。雇用統計悪化を始め、短期的利上げ観測が急速に沈静化した。30年債の利回りは対前週比0.01%低下。10年債は同0.02%低下。また、5年債は同0.11%低下。2年債は同0.12%低下。

   (債券相場の強材料)
★週内に大型の国債入札がないことから需給悪化に対する懸念が和らいだ。
★外貨準備政策を急激に変更することはないとした中国人民銀行(中央銀行)当局者の発言が伝わったことも、買い材料視された。
★ニューヨーク連邦準備銀行が30日と7月1日に国債買い取りを予定していることも、相場を下支えした。30日は2016年5月から19年5月、7月1日は19年8月から26年2月に償還日を迎える国債が買い取りの対象となる。
★サンフランシスコ連銀のイエレン総裁は、今後数年間は政策金利をゼロ付近で据え置く可能性があると述べた。
★6月の米雇用統計が悪化したことから買いが優勢となった。
★5月の製造業受注高は、前月比1.2%増と、2カ月連続でプラスとなったが、市場予想(1.4%増)よりは低い伸びだったため、国債の買い材料となった。

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2006年6月8日、10年債利回りが2年債利回りを下回る長短金利の逆転が発生したが、2007年3月21日、FOMCが政策金利を据え置く一方で、利上げへの傾斜姿勢を取りやめたことから利下げ観測が再度カムバックした為、順イールドに戻った。それから、5月3日再度逆イールドとなったが、6月8日に再度順イールドに戻った。その後、度重なる利下げを経た後、2009年7月2日現在も順イールド状態は変わらず。ただし、若干買い戻されたことから、利回り曲線はわずかにパラレル下方移動した。
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為替相場先週の動
ニューヨーク外国為替市場では、ドルが対ユーロで0.12%下落、対円では0.52%上昇した。

   (対ユーロドル高の背景)
★欧州連合(EU)の欧州委員会が発表した6月のユーロ圏景況感指数が予想以上に上昇した。

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原油相場先週の動き
原油価格は反落。前週末比で3.51% 下落した。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)で取引されている原油先物8月限は前週末の1バレル=69.16ドルに対し、7月2日は66.73ドルで越週した。

   (原油価格反落の背景)
★米週間石油統計でガソリン在庫が大きく増えたことから、夏場のドライブシーズンを前にガソリンの需要が予想以上に落ち込んでいるとの見方が広がり、売り注文が優勢となった。
★6月の米雇用統計が市場予想よりも大きく悪化し、米経済の回復が遅れ、エネルギー需要が伸びないとの見方が強まった。

=以上=
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2009年06月15日

今週の米国株相場展望 6/14

今週の米国株相場展望

6月14日

森  崇


先週の動き
ダウ指数は先週0.41%上昇。S&P500指数は同0.65%上昇。ナスダック指数は0.51%上がった。また、小型株指数のラッセル2000指数は同0.67% 下落した。

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(先週の米国株相場の動き)
先週は、10日(水曜日)インフレ懸念から反落した他は、概ねしっかりだった。

水曜日のインフレ懸念は以下の通り
1.原油高を背景に、投資家の間でインフレ加速が景気回復の脅威となるとの懸念が強まった。
★10日のニューヨーク原油先物相場は続伸。米国産標準油種(WTI)7月渡しは、終値ベースで昨年11月上旬以来の高値となる、前日比1.32ドル高の1バレル=71.33ドルで取引を終えた。景気回復に伴って原油需要が伸びるとの思惑から買われた。投機的買いも入っていた。

2. 10年債入札の結果が投資家の失望を誘い、金利上昇が景気回復の脅威となるとの懸念が強まった。10年債利回りは昨年10月以来の高水準に上昇した。
(背景)
★190億ドル相当の同国債入札の不調で売りが膨らんだ。10年債の最高落札利回りは3.99%と、2008年8月以来の最高。
★ロシア中銀副総裁は米国債を売却し、国際通貨基金(IMF)債に交換する可能性があることを明らかにした。
★ブラジルのマンテガ財務相は10日、同国が国際通貨基金(IMF)の資金調達に100億ドルを拠出することを発表した。ブラジルは準備の一部をIMF債の購入に充てるという。


相場上昇の背景
1.米国債が買われ、借り入れコスト上昇が景気回復を損ねるとの懸念が和らいだ。
★発行額110億ドルの30年債入札で落札利回りがほぼ2年ぶりの高水準となり、値頃感からの需要があった。30年債入札では海外中央銀行を含む間接入札の割合が、2006年に同国債の発行が再開されて以来で最高に上った。
★与謝野馨財務・金融・経済財政担当相が、米国債に対する信認はいささかも揺らいでいないと発言したため、海外勢の米国債離れが起こるとの懸念が弱まり、買いが入った。

2.米財務省は9日、大手金融機関10社に公的資金の返済を認めると発表した。返済額は合計680億ドルに上る。これを受けて10社は返済手続きを進める方針を明らかにした。これを好感し銀行株が上昇した。

ノーザントラスト(NTRS)、BB&T(BBT)、ステート・ストリート(STT)、アメリカン・エキスプレス(AXP)、キャピタル・ワン・フィナンシャル(COF)、ゴールドマン・サックス(GS)、バンク・オブ・ニューヨーク・メロン(BK)

3.景気指標やその他強気材料が出た。
★5月の米小売売上高が前月比0.5%増と、3カ月ぶりにプラスとなった。
★6日に終わった週の米新規失業保険申請件数が前週から減少した。
★ボルカー米経済再生諮問会議議長は11日、世界的に景気が低迷している
が、米国と英国が先行して景気下降ペースが緩やかになってきたと述べた。
★サマーズ米国家経済会議(NEC)委員長は12日、オバマ政権の景気対策成功の初期的兆候が表れており、政府は市場への介入を一時的措置ととらえていると発言した。また、雇用の減少幅が縮小した点やビジネス景況感や消費者マインド指数が改善している。過去数カ月間に多くの金融市場でみられた好調なパフォーマンスは、米国経済が数カ月前と比べて違う状況にあることを示しているとコメントした。


今週のマクロ経済指標
マクロ関連
6月15日(月)
*6月ニューヨーク連銀製造景気指数…コンセンサス予想-6.00(前月は-4.55)

*4月ネット長期TICフロー…コンセンサス予想600億ドル(前月は5580億ドル)

*4月ネットTICフロー合計…(前月は2320億万ドル)

*6月NAHB住宅市場指数…コンセンサス予想17(前月は16)


6月16日(火)
*5月生産者物価指数(前月比)… コンセンサス予想0.6%(前月は0.3%) 

*5月PPI(除食品&エネルギー/前月比)… コンセンサス予想0.1%(前月は0.1%)                           

*5月生産者物価指数(前年比)… コンセンサス予想-4.4%(前同期比は-3.7%)

*5月PPI(除食品&エネルギー/前年比)… コンセンサス予想3.2%(前同期比は3.4%)

*5月住宅着工件数…コンセンサス予想480,000件(前月は458,000件)

*5月建設許可件数…コンセンサス予想500,000件(前月は494,000件)

*5月鉱工業生産…コンセンサス予想-0.8%(前月は-0.5%)

*5月設備稼働率…コンセンサス予想68.5%(前月は69.1%)

*6月14日ABC消費者信頼指数…(前月は-47)


6月17日(水)
*5月13日MBA住宅ローン申請指数…(前月は-7.2%)

*5月消費者物価指数(前月比)…コンセンサス予想0.3%(前月は0.0%)

*5月CPI(除食品&エネルギー/前月比)…コンセンサス予想0.1%(前月は0.3%)

*5月消費者物価指数(前年比)…コンセンサス予想-0.9%(前同期比は-0.7%)

*5月CPI(除食品&エネルギー/前年比)…コンセンサス予想0.1%(前同期比は1.9%)

*5月CPIコア指数 季調済…(前月は218.594)

*5月消費者物価指数(季調前)…(前月は213.240)

*経常収支…コンセンサス予想-8500億ドル(前同期比は-1328億ドル)


6月18日(木)
*6月13日新規失業者保険申請件数…(前月は601,000人)

*6月6日失業保険継続受給者数…(前月は6,816,000人)

*5月景気先行指標総合指数……コンセンサス予想0.9%(前月は1.0%)

*6月フィラデルフィア連銀…コンセンサス予想-18.0(前月は-22.6)


今週の展望
先週は週の半ばにインフレ、利上げ懸念が出、一時下落したものの、相場は全般しっかり。12日、S&P500指数は7ヶ月ぶりの戻り高値を更新して引けた。

ドル安、インフレ懸念は行き過ぎであり、米国債への需要は引き続き堅調であると見る。

(金利の更なる高騰は考えにくい)
1.米10年債利回りが節目の4%をとりあえず達成した。
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2.米連邦準備制度理事会(FRB)が10日発表した地区連銀経済報告(ベージュブック)も未だ不振な内容。
(要旨)
★4月半ばから5月にかけて主要5地区連銀管轄地域で経済活動の縮小ペースが鈍化した。
★全米中で雇用情勢は引き続き弱く、賃金は総じて横ばいあるいは下落している。
★商業用不動産の空室率については、多くの地域で上昇。不動産開発業者は新規事業の資金繰りが難しくなっている。
★大部分の連銀地区で融資は横ばいないし弱い。
★信用状況は引き続きひっ迫あるいはさらに引き締まっている。

基本的に相場動向は24日、25日のFOMCに依存しよう。それまでは、世界同時株高環境下、引き続き底固い相場展開を予想する。

予想レンジ
ダウ指数…8,600ドル〜9,000ドル
ナスダック指数…1,800〜1,900



米国債券先週の動き
債券は若干買われた。30年債の利回りは対前週比変わらず。10年債は同0.06%低下。また、5年債は同0.04%低下。2年債は同0.03%低下。

(債券相場の強材料)
★前週末に発表された5月の雇用統計を受けて市場に台頭した早期利上げ観測が行き過ぎた解釈だったとして後退したことも、買い要因となった。
★3年債入札が堅調だったことも、相場を下支えした。入札結果は、落札利回りが1.960%で直前の発行日取引利回り(1.976%程度)を下回り、倍率は2.82倍で前回の2.66倍から上昇。外国中央銀行などの間接入札者比率は43.76%で、前回の37.27%を上回った。
★与謝野馨財務・金融・経済財政担当相が、米国債に対する信認はいささかも揺らいでいないと発言したため、海外勢の米国債離れが起こるとの懸念が弱まり、買いが入った。

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2006年6月8日、10年債利回りが2年債利回りを下回る長短金利の逆転が発生したが、2007年3月21日、FOMCが政策金利を据え置く一方で、利上げへの傾斜姿勢を取りやめたことから利下げ観測が再度カムバックした為、順イールドに戻った。その後、5月3日再度逆イールドとなったが、6月8日に再度順イールドに戻った。その後、度重なる利下げを経た後、2009年6月12日現在も順イールド状態は変わらず。ただし、若干買い戻されたことから、利回り曲線はわずかにパラレル下方移動した。


為替相場先週の動き
ニューヨーク外国為替市場では、ドルが対ユーロで0.33%、対円では0.40%下落した。

(ドル安の背景)
米国景気強気指標が出、高利回り資産への買いが優勢となった。
★5月の米小売売上高が前月比0.5%増と、3カ月ぶりにプラスとなった。
★6日に終わった週の米新規失業保険申請件数が前週から減少した。

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原油相場先週の動き
原油価格は続伸。前週末比で8.64% 上昇した。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)で取引されている原油先物7月限は前週末の1バレル=66.31ドルに対し、6月12日は72.04ドルで越週した。

(原油価格続伸の背景)
★世界的に景気が回復、需要が伸びるとの思惑が高まった。
★中国で自動車市場の拡大が続いていることなどを背景に、買いが活発化した。
★外国為替市場でドルが弱含んで推移していることも買いを誘った。
★米エネルギー省が、今年後半の原油価格の予想を引き上げた。
★5月の米小売売上高が3カ月ぶりにプラスとなった。
★米国の原油在庫が減少。国際エネルギー機関(IEA)が世界の需要予測を上昇修正した。去年8月以来始めての上方修正。IEAは今年の世界需要について日量8330万バレルと、従来予想から12万バレル引き上げた。米国と中国の需要増が引き上げ要因だった。
★中国が5月、一日に購入した原油量は390万バレルだったと発表。
★NY大学のルービニ教授が、来年原油価格が100ドルに達するかもしれないと発言。


=以上=
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2009年06月08日

今週の米国株相場展望 6/7

今週の米国株相場展望

6月7日

森  崇


先週の動き
ダウ指数は先週3.09%上昇。S&P500指数は同2.28%上昇。ナスダック指数は4.23%上がった。また、小型株指数のラッセル2000指数は同5.74% 上昇した。

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(先週の米国株相場の動き)
先週は、水曜日1日押したのみで、概ね上昇相場だった。


上昇相場の背景
1.強めの景気指標が発表になり、景気先行き期待が高まった。

★米供給管理協会(ISM)が発表した5月の製造業景況指数は42.8(前月40.1)と、予想(42.3)を上回った。50は下回ったものの、縮小幅は過去8カ月で最小となった。
★4月建設支出も0.8%(前月0.4%)と、予想(‐1.5%)を上回った。
★4月の個人消費支出(PCE)は前月比0.1%減少(前月は0.3%減)と、予想(0.2%減)ほど落ち込まなかった。
★中国物流購買連合会が1日発表した5月の製造業購買担当者指数(PMI、季節調整後)は53.1と、前月の53.5から低下したものの、3カ月連続で製造業の拡大・縮小の分かれ目となる50を上回った。
★4月の中古住宅販売成約指数が過去7年で最大の伸びを記録したことを好感し、住宅建設のD.R.ホートン(DHI)とパルト・ホームズ(PHM)などが大幅高となった。
★5月の米雇用者数のマイナス幅がエコノミスト予想を大幅に下回った。

2.6月1日、S&P500指数は2007年12月以来、初めて200日移動平均を上回って終え、チャート上の強気な兆候を示した。

3.主要企業に好材料が出た。
 
★キーコープ(KEY)
RBCキャピタル・マーケッツが「トップピック」に選択した。
★フィフス・サード・バンコープ(FITB)
オハイオ州での大手地銀が、10億ドルの新株発行に成功。
★ゴールドマン・サックス(GS)
サンフォード・バーンスティンが投資判断を「アウト・パフォーム」に引き上げた。確定利付証券部門での収益増加が期待できるとしている。
★アップル(AAPL)
オッペンハイマーが同社利益見通しと目標株価を引き上げた。マッキントッシュ・コンピューターとiPhoneの強気見通しが背景。
★マイクロン・テクノロジー(MU)
DRAM大手に好材料。ブロードポイント・アムテックがマイクロン株の目標価格を5.70ドルから8ドルへと引き上げた。チップの中には価格が底打ちしているものがあるとし、業界再編も材料にしていた。
★ADCテレコミュニケーションズ(ADCT)
第3四半期のEPS(非GAAP)が5セントとなり、予想の倍以上だった。
★ゴールドマン・サックス(GS)
英バークレイズは、ゴールドマン・サックスの利益見通しを大幅上方修正した。2四半期連続で並外れたトレーディング収入を計上したとし、4−6月(第2四半期)のゴールドマンの1株当たり利益予想を5.20ドルと従来の2.20ドルから大幅に引き上げた。同氏は今年と来年の通期利益予想についても、それぞれ15.88ドルと14.55ドルに上方修正した。従来予想は9.71ドルと11ドルだった。
★石油関連株が買われた。
ゴールドマン・サックス・グループが需要回復の一方で供給量は減少するとの見方に基づき、原油相場は年末までに85ドルまで上昇するとの見通しを6月4日示した。ゴールドマンの従来の原油価格見通しはバレル当たり65ドルだった。


今週のマクロ経済指標
マクロ関連
6月9日(火)
 *4月卸売在庫…コンセンサス予想-1.1%(前月は-1.6%)

 *6月IBD/TIPP景気楽観指数…コンセンサス予想40.0(前月は48.6)

 *6月7日ABC消費者信頼感指数…(前月は-49)

 
6月10日(水)
 *6月5日MBA住宅ローン申請指数…(前月は-16.2%)

 *4月貿易収支…コンセンサス予想-289億ドル(前月は-276億ドル)

 *5月月次財政収支…コンセンサス予想-1750億ドル(前月は-1659億ドル)


6月11日(木)
 *5月小売売上高…コンセンサス予想0.3%(前月は-0.4%)

 *5月小売売上高(除自動車)…コンセンサス予想0.2%(前月は-0.5%)

 *6月6日新規失業保険申請件数…コンセンサス予想370,000件(前月は621,000件)

 *5月30日失業保険継続受給者数…(前月は6,735,000人)

 *4月企業在庫…コンセンサス予想-1.0%(前月は-1.0%)

     
6月12日(金)
 *5月輸入物価指数(前月比)…コンセンサス予想1.2%(前月は1.6%) 

 *5月輸入物価指数(前年比)…(前同期比は-16.3%)

 *6月ミシガン大学消費者信頼感指数…コンセンサス予想68.6(前月は68.7)

   
今週の展望
5月の非農業部門雇用者数は34万5000人減と、2008年9月以降で最も小幅なマイナスとなり、減少幅は市場予想の52万人減を大幅に下回った。一方、失業率は9.4%と前月の8.9%から上昇し、1983年7月以来の水準に達した。相反的な内容となったことから、市場は消化不良ながら、最近上昇していた銘柄に利食い売りが出た。

ただし、米金利先物は5日、非農業部門雇用者数が予想より小幅な減少にとどまったことで、2010年初めの利上げを織り込む水準となった。10年1月の米連邦公開市場委員会(FOMC)でフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標が0.5%に引き上げられるとの見方を完全に織り込んだ。米短期金利先物相場は、FRBによる最初の利上げ可能な時期として、09年末から10年初頭を織り込む動きとなった。

米GDPの動きに1年先行しているとされ、FRBが重視すると言われるものに、四半期ごとに銀行上級貸出担当者を対象に実施している調査データがある。このデータは、大・中規模企業向けの商工業融資の基準について、厳格化したか緩和化したかをまとめた内容で、08年10月、09年1月、09年4月と厳格化の数値が減少していると言う。

そのデータが08年10−12月期に底を打っていることから、1年後に相当する2009年10−12月期に回復に向かう公算が高いことになる。

確かに、5月上旬に米金融機関の健全性を調べるストレステスト(資産査定)の結果が発表され、金融機関の破綻懸念が和らいだ。このため、市場に安心感が広がり、安全な国債からリスクが高い株式市場に資金が戻り、金利が上昇した側面もあり、この流れで金利が上昇するのは良い金利高だが、財政赤字をめぐる懸念が押し上げた側面もある。また、雇用統計では失業率は9.4%と前月の8.9%から上昇、1983年7月以来の水準に達するなど、労働市場や景気全般は必ずしも健全
ではないとし、FRBの利上げ観測に疑問を呈する向きもある。更に、非伝統的な金融政策に踏み出したものの、今そのアクセルから足を離せば実体経済が失速するとの懸念をFRBは持っているであろう。

その意味では、今後の経済指標並びに、FRB高官発言がますます重要になってくるだろう。12日からの財務相会議では、長期金利上昇を抑える「出口戦略」の議論が出るかもしれない。

今週は、5月小売売上高(コンセンサス予想0.3%<前月は-0.4%>)、6月ミシガン大学消費者信頼感指数(コンセンサス予想68.6<前月は68.7>)が注目される。先週は実施されなかった国債入札が今週は予定されている。入札総額は650億ドル。10年債、30年債の入札が特に注目される。また、10日はシカゴ連銀のエバンズ総裁、11日にはアトランタ連銀のロックハート総裁の講演が予定されている。インフレ警戒発言が出るようなら債券が再度売られ、株式相場にとっては圧迫要
因になりそうだ。

ただし、以下の通り、ナスダック指数の25日移動平均線との乖離率はいまだ5.65%程度であり、引き続き上値追いの展開が予想される。

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予想レンジ
ダウ指数…8,700ドル〜9,000ドル
ナスダック指数…1,800〜1,900



米国債券先週の動き
債券は急落。30年債の利回りは対前週比0.31%上昇。10年債は同0.39%上昇。また、5年債は同0.49%上昇。2年債は同0.39%上昇。特に5日、5月雇用統計を受け、2年債利回りの上昇幅は昨年9月以来の最大で、利回りは8カ月ぶり高水準に押し上げられた。10年債利回りはこの日、昨年11月4日以来最高の3.84%を付けた。30年債利回りも同7月23日以来で最高の4.7130%をザラ場でつけた。

   (債券相場の弱材料)
★米供給管理協会(ISM)が発表した5月の製造業景況指数は42.8(前月40.1)と、予想(42.3)を上回った。50は下回ったものの、縮小幅は過去8カ月で最小となり、株価と商品相場が上昇した。
★4月建設支出も0.8%(前月0.4%)と、予想(‐1.5%)を上回った。
★住宅ローン担保証券(MBS)の利回りが上昇、投資家は金利上昇に対するヘッジ策としての国債に売りを出した。
★5月30日に終わった1週間の新規失業保険申請件数が前週から減少した。
★5月の米雇用者数減少幅が予想より小幅だったことから、市場では年内利上げ観測が浮上した。すべての年限の米国債が週間ベースで3週連続安となった。

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2006年6月8日、10年債利回りが2年債利回りを下回る長短金利の逆転が発生したが、2007年3月21日、FOMCが政策金利を据え置く一方で、利上げへの傾斜姿勢を取りやめたことから利下げ観測が再度カムバックしたため、順イールドに戻った。その後、5月3日再度逆イールドとなったが、6月8日に再度順イールドに戻った。度重なる利下げを経た後、2009年6月5日現在も順イールド状態は変わらず。ただし、景気強気指標が多く出、5日発表の5月雇用統計で、雇用数の減少幅が予想を大幅に下回ったことから、年内利上げ観測が浮上し、全ての年限の国債が大幅に売られたことから、利回り曲線は、前週に比べパラレル上方修正。

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為替相場先週の動き
ニューヨーク外国為替市場では、ドルが対ユーロで1.19%上昇、対円でも3.70%上昇した。

   (ドル高の背景)
★ユーロ圏の1−3月(第1四半期)実質GDP(域内総生産)改定値が過去最大のマイナス成長となった。
★5月の米雇用者数のマイナス幅がエコノミスト予想を大幅に下回ったことから、米経済主導で世界経済がリセッションから脱却すればドル建て資産の価値が上昇するとの見方が強まった。

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原油相場先週の動き
原油価格は上昇。前週末比で10.98% 上昇した。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)で取引されている原油先物7月限は前週末の1バレル=61.67ドルに対し、6月5日は68.44ドルで越週した。

   (原油価格上昇の背景)
★米製造業や建設関連などの指標が改善を示した。
★中国の製造業活動が5月に2カ月連続で拡大した。
★米株の急伸も好感された。
★ゴールドマン・サックス・グループが需要回復の一方で供給量は減少するとの見方に基づき、原油相場は年末までに85ドルまで上昇するとの見通しを示した。
ゴールドマンの従来の原油価格見通しはバレル当たり65ドルだった。
★OPECのバドリ事務局長は4日、景気回復とドル下落を理由に、原油相場が今年末までにバレル当たり70−75ドルに達する可能性があるとの見通しを示した。
世界経済は原油価格ほど速く回復していないものの、中国からの需要が上向きになっていると語った。また、代替エネルギーの最低コストはバレル当たり70ドルだと言明した。


=以上=
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2009年06月01日

今週の米国株相場展望 5/31

今週の米国株相場展望

5月31日

森  崇


先週の動き
ダウ指数は先週2.69%上昇。S&P500指数は同3.62%上昇。ナスダック指数は4.86%上がった。また、小型株指数のラッセル2000指数は同2.29% 上昇した。

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(先週の米国株相場の動き)
先週は、月曜日がメモリアルデイで休場となり、4日間の短縮週間となったが、いきなり火曜日急騰後、水曜日急落、木、金と続伸した。例年メモリアルデイ明けの週は株高アノマリーになっているが、今年も当たった。

相場堅調の背景
1.経済指標に堅調なものが続出し、景気回復期待が高まった。
★5月の米消費者信頼感指数が54.9と予想を上回り、03年4月以来の大幅な伸びを示したことから、リセッションの最悪局面は終わりを迎えつつあるとの楽観が広がった。これを受け、 住宅用品小売りのホーム・デポ(HD)などが急伸。
★4月の米製造業耐久財受注額は前月比1.9%増(3月は2.1%減)と、予想(0.5%増)を上回り、2007年12月以来で最大の伸びとなった。変動の大きい輸送用機器を除く受注は4月に0.8%増加し、予想(0.3%減)を上回った。これを受けニューヨークの原油先物が6カ月ぶり高値をつけた他、ニューヨーク銅先物相場も、約3週間ぶりの高値水準へ上昇した。以上より素材株がほぼ全面高商状となった。
★第1四半期(1−3月)の実質国内総生産改定値は前期比年率5.7%減少。速報値の6.1%減少から上方修正された。ただし、予想は5.5%減だった。貿易赤字が速報値と比べて縮小し、在庫投資の減少幅が小さくなったことが上方修正につながった。
★ゼネラル・エレクトリックのジェフリー・イメルトCEOは28日、以下の通り発言した。

   (発言要旨)
○世界の資本市場は劇的に改善し、経済は最悪期を脱した。自身が過去9カ月と比べて自信を深めており、経済には回復の兆しであるグリーンシュート(新芽)が見られる。
○石油と鉄鉱石の価格は上昇が見込まれる。中東や北アフリカ、インド、中国といった資源国については、われわれは強気だ。インド情勢に関しては、最近の下院選挙結果は同国でこの20年間に起きた出来事のなかで最善のものだ。インドに関しては長期的に非常に楽観している。

2.米国債入札が成功裏に終わった。
今週実施された総額1010億ドル相当の入札で海外投資家からの需要が続いたため、過去最高に上る国債発行を吸収できないとの懸念が沈静化したことのインパクトが大きかった。


今週のマクロ経済指標

マクロ関連

6月1日(月)
 *4月個人所得…コンセンサス予想-0.2%(前月は-0.3%)

 *4月個人支出…コンセンサス予想-0.2%(前月は-0.2%)

 *4月PCEデフレータ(前年比)…コンセンサス予想0.4%(前年同期比は0.6%)   

 *4月コア・デフレータ(前月比)…コンセンサス予想0.2%(前月は0.2%)

 *4月コア・デフレータ(前年比)…コンセンサス予想1.9%(前年同期比は1.8%) 

 *5月ISM製造業景況指数…コンセンサス予想42.0(前月は40.1)

 *5月ISM支払価格…コンセンサス予想35.0(前月は32.0)

 *4月建設支出(前月比) …コンセンサス予想-1.8%(前月は0.3%)


6月2日(火)
 *4月中古住宅販売保留(前月比)…コンセンサス予想0.3%(前月は3.2%)

 *5月31日ABC消費者信頼指数…(前月は-47)

 *5月自動車販売台数総計…コンセンサス予想930万台(前月は930万台) 

 *5月国内自動車販売…コンセンサス予想700万ドル(前月は700万ドル)

   
6月3日(水)
 *5月29日MBA住宅ローン申請指数…(前月は-14.2%)

 *5月チャレンジャー人員削減数(前年比) …(前年同期比は47.0%)

 *5月ADP雇用統計…コンセンサス予想-543,000(前月は-491,000)

 *5月ISM非製造業景況指数(総合) …コンセンサス予想45.0(前月は43.7)

 *4月製造業受注指数 …コンセンサス予想0.3%(前月は-0.9%)

   
6月4日(木)
 *非農業部門労働生産性…コンセンサス予想1.2%(前四半期は0.8%)

 *単位労働費用…コンセンサス予想2.9%(前四半期は3.3%)

 *5月30日新規失業者保険申請件数…(前月は673,000)

 *5月23日失業保険継続受給者数…(前月は6,788,000人)

 *5月ICSCチェーンストア売上げ高(前年比) …(前年同期は0.7%)


6月5日(金)
 *5月非農業部門雇用者数変化…コンセンサス予想-550,000(前月は-539,000)

 *5月失業率…コンセンサス予想9.2%(前月は8.9%)

 *5月製造業雇用者変化…コンセンサス予想-153,000人(前月は-149,000人)

 *5月平均時給(前月比) …コンセンサス予想0.2%(前月は0.1%)

 *5月平均時給(前年比) …(前年同期は3.2%)

 *5月週平均労働時間…コンセンサス予想33.2時間(前月は33.2時間)

 *4月消費者信用残高…コンセンサス予想-60億ドル(前月は-111億ドル)          

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今週の展望
経済指標に堅調なものが続出し、景気回復期待が高まった。世界経済が回復すれば需要が拡大するとの期待で、商品相場は月間ベースで1974年以来で最大の上昇を記録。今日も高かった。ドルが主要通貨に対して弱含んで推移していることも材料視された。これを受け、素材株が高かった。

指数の中で最も上昇率の大きかったナスダック指数が遂に200日移動平均線を上回ってきた。直近既に2回トライして失敗していたが、遂に上抜いてきた。

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以下のような強材料が指摘できる。

1.世界の他市場では、ヨーロッパ、中国、インド、ブラジルなどの株式市場が一応に上昇トレンドを維持している。従って、米国のみ急落することは予想しにくい。

2.ガイトナー米財務長官が20日、上院銀行委員会で証言し以下の通り発言した。

  (発言要旨)
★銀行の不良資産を買い取る計画が7月初めまでに始まる見通しだ。FRBと米連邦預金保険公社(FDIC)とともに協議を進めており、計画が6週間以内に始まるとみている。
★金融システムが回復し始めていることを示す明確な兆候が表れている。社債や地方債、銀行間貸出金利のプレミアムが低下している。

3.米国債格下げは可能性としての問題であり、すぐに実施されるとは思われない。英国債の見通しがS&Pにより引き下げられた背景は、英国のGDPと純債務の比率が1対1になっていることであり、米国の場合これは1対0.8である。先週、ムーディーズやフィッチが米国債の格下げは当面ないとのコメントを出している。基軸通貨国であり、年初から取られた一連の政策が奏功しているとの理由からである。

4.GM破綻可能性はかなり相場に織り込まれているが、その割に下げていない。クライスラーの時と同様、相場に耐性がついてきた表れだ。

さて、ナスダック指数がいよいよ戻り高値を更新してきた。今週も上値追いの展開になるのではないか。今週の雇用統計も重きを成すが、これはあくまでも遅行指標であり、最近の傾向では、この数字が悪くても相場はネガティブに反応しないケースが増えている。


予想レンジ
ダウ指数…8,450ドル〜8,700ドル
ナスダック指数…1,750〜1,850



米国債券先週の動き
債券は小動き。30年債の利回りは対前週比0.05%低下。10年債は同変わらず。また、5年債は同0.13%上昇。2年債は同0.13%上昇。

   (債券相場の弱材料)
★過去最高に上る国債発行に対する荷もたれ感が強かったが、外人の応札も活発で無事ファンディングできた。
★景気が安定の兆候を示し始めていることから、短期ものが軟調だった。

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2006年6月8日、10年債利回りが2年債利回りを下回る長短金利の逆転が発生したが、2007年3月21日、FOMCが政策金利を据え置く一方で、利上げへの傾斜姿勢を取りやめたことから利下げ観測が再度カムバックした為、順イールドに戻った。その後、5月3日再度逆イールドとなったが、6月8日に再度順イールドに戻った。その後、度重なる利下げを経た後、2009年5月29日現在も順イールド状態は変わらず。ただし、長期債が買われたことから、利回り曲線が若干平坦化した。

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為替相場先週の動き
ニューヨーク外国為替市場では、ドルが対ユーロで0.73%下落、対円では0.55%上昇した。

   (対ユーロでドル安の背景)
★世界的なリセッションが緩和しつつある兆しを受け、高利回り資産に買いが集まった。
★韓国の国民年金基金が米国債への資産配分引き下げ方針を明らかにした。

   (対円でドル高の背景)
★日本の投資家が海外投資を増やしていることを示す統計が手掛かりとなった。日本の財務省が発表した5月23日までの1週間の対外証券投資では、国内投資家が海外債券の保有を増やしたことが示された。
★世界的なリセッションが緩和しつつあることを示唆する米指標の発表も円売りにつながった。

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原油相場先週の動き
原油価格は上昇。前週末比で7.52% 上昇した。ニューヨーク商業取引所(NYMEX)で取引されている原油先物7月限は前週末の1バレル=61.67ドルに対し、5月29日は66.31ドルで越週した。

   (原油価格反発の背景)
★米消費者信頼感指数が昨年9月以降で最高となり、需要が回復するとの見方が強まった。
★28日のOPECの総会を前に、産油国のサウジアラビアの首脳が、世界経済の回復で原油価格は上昇を続け、1バレル=75−80ドルに達するとの見方を示した。
★米原油在庫が、市場予想を上回って大きく減少したことを受けて買いが加速した。
★世界的な景気回復期待を背景にエネルギー需要が増加基調を維持するとの見方が広がった。
★ドルが主要通貨に対して弱含んで推移していることも材料視された。


=以上=
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2009年05月25日

今週の米国株相場展望 5/24

今週の米国株相場展望

5月24日

森  崇


先週の動き
ダウ指数は先週0.10%上昇。S&P500指数は同0.47%上昇。ナスダック指数は0.71%上がった。また、小型株指数のラッセル2000指数は同0.37% 上昇した。

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(先週の米国株相場の動き)
先週は、月曜日急騰後、下落に転じ、行って来い商状。

月曜日急騰の背景
1.金融株に好材料が続出し、金融株が急騰。

★ゴールドマン・サックス(GS)
シティグループは18日、ゴールドマン・サックス・グループの株価目標を10%引き上げ160ドルとした。また、ゴールドマンの4−6月(第2四半期)1株当たり利益予想も3.35ドルと、従来の2.18ドルから引き上げた。
★バンカメ(BAC)
○シティグループは同行が普通株発行により最大40億ドルを調達したもようだとコメント。8日以降に2億5000万−3億株を発行し30億−40億ドルを調達したとの見方を示した。
○ゴールドマン・サックス・グループは、バンカメ株の投資判断を「バイ(買い)」とし、従来の「ニュートラル(中立)」から引き上げた。4−6月(第2四半期)1株当たり利益は25セントに達する可能性があるとしている。

★銀行業界
○BMOキャピタル・マーケッツが強気コメント。次四半期から銀行業界の利益好転が始まると言う。
○ロッチデール証券のアナリスト、リチャード・ボーブ氏が強気コメント。景気回復につれ、銀行の利益が爆発的に伸び、株が異例な上昇を遂げる可能性があるとコメント。

★ゴールドマン・サックスとJ.P.モルガン、モルガン・スタンレーの3社は総額450億ドルの公的資金の返済を申請。3社が金融安定化策に基づく公的資金を返済するためには、米連邦準備制度理事会(FRB)の承認が必要。

★J.P.モルガン・チェース(JPM)
J.P.モルガン・チェースは、クレジットカード債権を裏付けとする証券10億ドルを発行した。融資拡大を目指して連邦準備制度理事会(FRB)が導入した制度「ターム物資産担保証券融資ファシリティー(TALF)」は利用せず、同証券に対する需要が高まってきた様子をうかがわせた。

★ステート・ストリート(STT)
世界3位のカストディー銀行、ステート・ストリートは18日、普通株の発行と米連邦預金保険公社(FDIC)の保証を付けない社債を発行する計画を明らかにした。

2.ローズ(LOW)の好決算から住宅関連株にも買いが波及した。
米住宅関連用品小売り2位のローズが18日寄り前決算発表。2009年2−4月(第1四半期)の売上高は前年同期比1.5%減の118億ドル、1株当たり利益は32セントとなった。予想は、売上高が116億ドル、EPSが26セントだった。花や低木などの園芸用プラントの売り上げが好調だった。売上高の35%は屋外向けの日曜大工関連品が占めたと言う。

3.18日のインド市場では、インド株の指標となるセンセックス30種指数が前週末比17%高と急騰した。同国の下院総選挙でシン首相率いる与党連合が大勝し、経済改革が進むとの見方から買われた。通貨ルピーは過去20年で最大の上昇を演じ、国債相場も大幅高。これを受け、インド経済安泰との見方が強まり、インドが輸入する素材関連も買われた。

火曜日以降下落の背景
1.FOMCが景気に対してもっと深刻に受け止めていた事実が判明した。

★この日公開された米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録で、一部のメンバーが国債などの買い取り拡大に言及していたことが判明。買い取り枠が今後拡大される可能性もあると受け止められた。
★4月のFOMC議事録で、2009年の米国内総生産(GDP)実質成長率をマイナス2.0%−マイナス1.3%の範囲と予想し、1月時点の前回見通しを下方修正、一方、失業率は9.2%−9.6%と前回見通しを引き上げた。

2.16日に終わった1週間の新規失業保険申請件数は63万1000件と、予想(62万5000件)を上回るとともに、前週分も上方修正された。引き続き雇用市場の不振を物語るものとなった。

3.グリーンスパン前(FRB)議長が20日、アメリカの銀行はなお資本不足で、大規模な資金調達を行う必要があると発言した。

4.ドルが対ユーロで1月以来の安値に下落。米財政赤字が拡大する中で、米国債利回りと金相場が上昇、インフレ加速の兆候と受け取られた。10年物とインフレ連動国債(TIPS)10年物の利回り差は1.73ポイントと、昨年9月以降で最大まで拡大。インフレ加速化観測が反映された内容だった。

5.米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は英国の格付け見通しを引き下げたこともネガティブだった。ただし、他の格付け会社2社が同見通しを「ステーブル(安定的)」に据え置いたことで、S&Pが早急に英国の格付けを引き下げることはないとの観測が広がった。

6.検察当局は、ニューヨーク市内にあるユダヤ教礼拝堂の爆破と地対空のスティンガーミサイルによる軍用機撃墜を企てたとして、4人を逮捕した。検察当局が20日、電子メールで発表した。4人は、同市ブロンクスのリバーデール地区にあるユダヤ教礼拝堂の爆破を計画したほか、ニューヨーク州の空軍基地で軍用機への攻撃を企てた。

7.前日に英国債の見通しが引き下げられたことから、国債増発の続く米国債も格下げ懸念が出ている。対ユーロでドルが続落していることや、米財務省が来週、総額1620億ドル(短期債含む)の入札を予定していることから、荷もたれ感が強く、22日、30年国債利回りは昨年9月下旬以来、10年国債利回りは昨年11月中旬以来の高水準となった。


今週のマクロ経済指標
マクロ関連
5月26日(火)
 *3月S&P/ケース・シラー総合-20…(前月は143.17)

 *3月S&P/ケース・シラー総合-20(前年比)…コンセンサス予想-18.40%
  (前同期比は-18.63%)

 *S&P/ケース・シラー米住宅価格…(前同期比は139.1)

 *S&P/ケース・シラー総合-20(前年比)… (前同期比は-18.2%)

 *5月消費者信頼感指数…コンセンサス予想42.0(前月は39.2)

 *5月リッチモンド連銀製造業指数…コンセンサス予想-7(前月は-9)

 *5月ダラス連銀製造業活動…コンセンサス予想-24.0%(前月は-31.6%)

 *5月24日ABC消費者信頼指数…(前月は-45)


5月27日(水)
 *5月22日MBA住宅ローン申請指数…(前月は2.3%)

 *3月住宅価格指数(前月比)…コンセンサス予想-0.2%(前月は0.7%)

 *4月中古住宅販売件数…コンセンサス予想465万ドル(前月は457万ドル)

 *4月中古住宅販売件数(前月比)… コンセンサス予想1.8%(前月は-3.0%)


5月28日(木)
 *4月耐久財受注…コンセンサス予想0.5%(前月は-0.8%)

 *4月耐久財(除輸送用機器)…コンセンサス予想-0.3%(前月は-0.6%)

 *5月23日新規失業者保険申請件数…(前月は631,000人)

 *5月16日失業保険継続受給者数…(前月は6,662,000人)

 *4月新築住宅販売件数…コンセンサス予想363,000件(前月は356,000件)

 *4月新築住宅販売件数(前月比)…コンセンサス予想1.5%(前月は-0.6%)


5月29日(金)
 *GDP(前期比/年率)… コンセンサス予想-5.5%(前同期比は-6.1%)

 *個人消費…コンセンサス予想2.0% (前同期比は2.2%)

 *GDP価格指数(前期比)…コンセンサス予想2.9%(前同期比は2.9%)

 *コアPCE(前期比)…コンセンサス予想1.5%(前同期比は1.5%)

 *4月シカゴ購買部協会景気指数…コンセンサス予想42.0(前月は40.1)

 *4月ミシガン大学消費者信頼感指数…コンセンサス予想68.0(前月は67.9)

 *4月NAPM-ミルウオーキー…(前月は39.0)
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今週の展望
先週後半の下げは、主として以下の要因に基づいていると見られる。

1.FOMCが景気に対してもっと深刻に受け止めていた事実が判明した。

★20日公開された米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録で、一部のメンバーが国債などの買い取り拡大に言及していたことが判明。買い取り枠が今後拡大される可能性もあると受け止められた。
★4月のFOMC議事録で、2009年の米国内総生産(GDP)実質成長率をマイナス2.0%−マイナス1.3%の範囲と予想し、1月時点の前回見通しを下方修正、一方、失業率は9.2%−9.6%と前回見通しを引き上げた。

2.21日に英国債の格付け見通しが引き下げられたことから、国債増発の続く米国債も格下げ懸念が出た。これを受け、対ユーロでドルが続落していることや、米財務省が来週、総額1620億ドル(短期債含む)の入札を予定していることから、荷もたれ感が強く、22日、30年国債利回りは昨年9月下旬以来、10年国債利回りは昨年11月中旬以来の高水準となった。

以下のように先駆して上昇し、いち早く200日移動平均線に到達したナスダック指数が既に2回上抜けを失敗している。22日金曜日は短期の支持線である25日移動平均線を若干下回って引けたが、ダウ指数とS&P500指数は上回って引けている。

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世界の他市場では、ヨーロッパ、中国、インド、ブラジル等の株式市場が一応に上昇トレンドを維持している。従って、米国のみ急落することは予想しにくい。

また、強材料もかなり出ている。ガイトナー米財務長官は20日、上院銀行委員会で証言し以下の通り発言した。

   (発言要旨)
★銀行の不良資産を買い取る計画が7月初めまでに始まる見通しだ。FRBと米連邦預金保険公社(FDIC)とともに協議を進めており、計画が6週間以内に始まるとみている。
★金融システムが回復し始めていることを示す明確な兆候が表れている。社債や地方債、銀行間貸出金利のプレミアムが低下している。

更に、ゴールドマンが米銀株の投資判断を引き上げ、銀行株の動きは良くなっている。米国債格下げは可能性としての問題であり、すぐに実施されるとは思われない。また、メモリアルデーの週は株高アノマリーがある。

以上より、今週は底固い動きを予想する。

予想レンジ
ダウ指数…8,250ドル〜8,500ドル
ナスダック指数…1,675〜1,750



米国債券先週の動き
債券は急落。30年債の利回りは対前週比0.30%上昇。10年債は同0.32%上昇。また、5年債は同0.21%上昇。2年債は同0.03%上昇。週間ベースで7週連続で下げており、前週やっと下げ止まったのも束の間、再度下落となった。

  (債券相場の弱材料)
★米連邦準備制度理事会(FRB)の国債買い取り規模が一部の予想より少なかったことが失望された。FRBがこの日の買い切りオペで購入した米国債は73億9800万ドル。ディーラーの申し込み456億9400万ドルの16%に相当する。
★市場の関心は来週の入札へと移った。米財務省は来週に2年債と5年債、7年債を合計1010億ドル入札する(内訳は、来週26日に2年債400億ドル、27日に5年債350億ドル、28日に7年債権260億ドルを入札する)
★ドルが対ユーロで1月以来の安値に下落。米財政赤字が拡大する中で、米国債利回りと金相場が上昇、インフレ加速の兆候と受け取られた。10年物とインフレ連動国債(TIPS)10年物の利回り差は1.73ポイントと、昨年9月以降で最大まで拡大。インフレ加速化観測が反映された内容だった。
★米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は英国の格付け見通しを引き下げたこともネガティブだった。ただし、他の格付け会社2社が同見通しを「ステーブル(安定的)」に据え置いたことで、S&Pが早急に英国の格付けを引き下げることはないとの観測が広がった。

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2006年6月8日、10年債利回りが2年債利回りを下回る長短金利の逆転が発生したが、2007年3月21日、FOMCが政策金利を据え置く一方で、利上げへの傾斜姿勢を取りやめたことから利下げ観測が再度カムバックした為、順イールドに戻った。その後、5月3日再度逆イールドとなったが、6月8日に再度順イールドに戻った。その後、度重なる利下げを経た後、2009年5月22日現在も順イールド状態は変わらず。ただし、長期債が売られたことから、利回り曲線のスティープニング化が進んだ。
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為替相場先週の動き
ニューヨーク外国為替市場では、ドルが対ユーロで3.72%下落、対円でも0.45%下落した。

  (ドル安の背景)
★米財政赤字が拡大する中で、米国債利回りと金相場が上昇、インフレ加速の兆候と受け取られた。
★21日英国債の見通しがS&Pにより引き下げられたことから米国債にも格下げ懸念が出ている。
★来週行われる計1010億ドルの国債入札を受けて、需給悪化への懸念が高まった。

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原油相場先週の動き
原油価格は上昇。前週末比で9.50% 上昇した。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)で取引されている原油先物7月限は前週末の1バレル=56.34ドルに対し、5月22日は61.67ドルで越週した。

   (原油価格下落の背景)
★米国への主要原油供給国の一つであるナイジェリアで武装勢力の活動が活発化、原油の安定供給が脅かされるとの見方から買いが活発化した。
★米エネルギー省エネルギー情報局(EIA)が20日発表した週間石油統計によると、15日現在の原油在庫(戦略備蓄を除く)は前週比210万バレル減の3億6850万バレルと2週連続で減少した。市場予想は70万バレルの減少。ガソリン在庫は430万バレル減の2億400万バレル。市場予想は120万バレル減。石油精製品在庫は60万バレル増の1億4810万バレル。予想は70万バレル増。
★ドル安傾向が強まっていることも買い材料となった。
★中国の石油需要急増が伝えられた。


=以上=
posted by mori at 10:59| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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